カラシニコフ自動小銃(AK)は1947年からソビエト軍およびロシア軍の制式小銃となっている。これは世界で最も信頼できる頑丈な銃で、すでに75年も世界中の紛争や対テロ作戦で用いられている。だがAKが旧式となる日もそう遠くない。
世界の軍のアサルトライフルに取って代わるのはどんな銃だろうか。未来の自動小銃はどんなものになるだろうか。カラシニコフ・コンツェルンの社長顧問を務めたことのあるアンドレイ・キリセンコ氏に話を聞いた。
キリセンコ氏は、科学技術の凄まじい発展とは裏腹に、世界の自動式小火器は旧式だと考えている。
米国のAR-15は1960年代に採用されたもので、AKは1947年から改良を重ねて使用され続けている。この2つの銃が今なお世界の軍の自動小銃の主要なプラットフォームなのだ。
米国のコルト1911は1911年から、ブローニング機関銃は1919年から米軍で使われ続けている。これは数ある例の一部に過ぎない。ここ百年間で航空機が信じがたいほどの技術的飛躍を遂げたことに比べれば、小火器の旧式化は実に際立っている。飛行機は百年のうちに宇宙空間を飛べるようになり、数百キロメートル離れた標的を撃てるようになった。一方で自動小銃は百年以上前の弾薬を使い続けている。なぜ小火器はこんなに遅れているのだろうか。
自動小銃用の新しい弾薬の開発は2010年代末からすでに目指されていたが、どの軍も新しいアサルトライフルの量産や採用には至っていない。なぜだろうか。
米国は軍の自動小銃と弾薬をすべて更新し、武器庫を満たすのにどれくらいの費用がかかるか試算した。するとその予算があれば空母を数隻作れることが分かった。そこで彼らは考えた。果たしてこれは今必要なことなのかと。
21世紀の戦争は短期戦で、何キロメートルも戦線を作って数千人の軍が衝突する第二次世界大戦のやり方は今ではもう行われない。
21世紀の戦争は特殊部隊によって敵の銃後で行われる。もし近いうちに新しい自動小銃が作られるなら、量産型ではない、特殊部隊用のモデルになるだろう。他の任務には差し当たり今ある銃で十分だ。百万人規模の軍の銃をすべて更新するのは高くつきすぎる。
カラシニコフ自動小銃の生産
Arama Nersesyan/Sputnik第一に新しい自動小銃は今より軽くなるだろう。これは兵士が耐え得る装備の重さが20〜30キログラム以下に限られるという実情に関係している。現在より重い装備に耐えられるよう兵士に外骨格や補助ロボットを装着させる試みがなされているが、こうした実験は今のところまだ成功していない。
結果として、新しい小火器の開発の際には技師らはグラム単位の軽量化に取り組んでいる。複合材料やポリマーを使って自動小銃の重量を削減しようとしている。これで銃の性能が落ちることはない。現代のポリマーやプラスチックの多くは質的に金属に勝るからだ。
また自動小銃にはより高い精度も求められる。このために将来の自動小銃は新しい照準器を持つことになるだろう。テレビゲームさながら、ゴーグルの画面の中央に赤い点が映し出され、これで照準を合わせることができる。米国はこの方向で実験を進めているが、民間用の製品のみで、まだ軍用には応用されていない。しかし米国では一般人がこうしたガジェットを購入し、これを使って射撃場や牧場で銃を撃つことができる。
さらに、新しい弾薬が採用されるだろう。ロシアと米国の研究者は、わずかな違いはあれ、現代に必要な口径として同じような数字を算出している。つまり自動小銃には6.5 mm口径、ライフルには6.8 mm口径が最適だという。こうした口径の弾薬が、すでに軍で百年余り使われている7.62×54 mm弾や5.45×39 mm弾、5.56×45 mm弾に取って代わるだろう。
キリセンコ氏は、20~30年後には我々が知っている小火器は完全に消え去るかもしれないと考えている。代わりに弾丸のように敵のところまで飛び、標的に当たると爆発する小型爆弾を搭載した極小ドローンが現れる。すでに米国でこうした製品が生まれている。
30年後にいは兵士はドローンや高度な人工知能を持つ兵器の単なる操縦士になるかもしれない。これは理想的な展開で、世界中の軍がこの方向で開発を進めている。戦場から完全に人間をなくし、ロボットに置き換えるというものだ。
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