9月末、ロシアのドローン・メーカー、クロンシュタット社が、同社の最新ドローン「グロム」(ロシア語で「雷」の意)がロシア国防省による中高度長時間滞空(MALE)ドローンの選抜に参加する準備ができたことを発表した。選抜の具体的な日程については近く国防省が発表する。
「このドローンがあれば、軍はあらゆる最新のジェット戦闘機用のミサイルと爆弾をドローンに搭載し、防空システムの激しい攻撃をくぐり抜けて敵の戦列を破壊できる」と同社はロシア・ビヨンドに話す。
同社の主な目標は、先陣を切って敵のミサイル攻撃を受け止め、有人の第5世代ジェット戦闘機や最新爆撃機の通り道を確保する無人機を作ることだ。
「これはあらゆる現代航空兵器を使用できる高速無人機だ。顧客のいかなる要求にも応じ、機体に変更を加える準備がある」と同社は続ける。
メディアの報道では、グロムは神風ドローン軍団を先導する可能性もあるという。
カラシニコフ・コンツェルンが現在開発しているドローン軍団技術については、ロシア・ビヨンドが以前に報じている。グロムに率いられる可能性のある無人機軍団の特徴や将来の実戦での活用法については、こちらをお読みいただきたい。
グロムについて分かっていること
グロムは世界中の戦闘地域における偵察・戦闘作戦で最大10機のドローン集団を率いることができる。
「これは空飛ぶハブだ。大型の無誘導爆弾とミサイルを搭載した『大きなブレイン』で、標的に衝突すると爆発する小さな神風ドローン集団に戦闘指示を送る」と21世紀技術推進財団発展部長のイワン・コノヴァロフ氏はロシア・ビヨンドに話す。
彼によれば、グロムの電子系統と人工知能はSu-35ジェット戦闘機やSu-57第5世代戦闘機と相互作用することができ、作戦中にアップデートを受けることもできるという。
この無人機は最大2トンの弾薬を搭載可能で、最大高度12キロメートルのところで作戦を実行できる。
グロムの翼長は10メートル、全長は13.8メートルだ。航続距離は700キロメートルとなっている。
「ステルス技術が用いられており、構造部材はすべて流線形で、電波吸収素材を広く統合している」とコノヴァロフ氏は言う。
同氏によれば、この無人機の外見は、ロシアがMALEドローンの分野をリードする列強に仲間入りすることを可能にするものだという。
「これは多目的無人機で、長距離偵察任務を行ったり、戦闘に参加して重装甲の敵を空爆したりできる」とコノヴァロフ氏は話す。
ドローン軍団は敵の装甲車集団を破壊するのに使われる予定だ。グロムは電子妨害装置も備えており、敵の防空システムの目を眩ませることで小型ドローンが迎撃されるのを防ぐ。
兵装
グロムは神風ドローンを率いるだけでなく、地上目標に対してKh-38シリーズの超音速短距離ミサイルを使うこともできる。このミサイルは3〜70キロメートル離れた防御の固い標的を容易に破壊できる。
このミサイルは250キログラムの榴弾式ないし徹甲弾式の弾頭を備えている。高精度攻撃を可能にしているのは熱映像システムとセミアクティブ・レーザー誘導システムだ。Kh-38の発射速度は時速54〜1620キロメートルで、飛行速度はマッハ2を上回る。
グロムの兵装には敵のインフラを含む幅広い標的を破壊できる誘導爆弾KAB-250とKAB-500も含まれる。