ロシア製の初の消音アサルトライフルASヴァルと消音スナイパーライフルVSSヴィントレスは、1980年代のソ連で開発された。
これらの銃は都市部で300㍍以内にいるテロリストを効果的に仕留めるために開発された。これはアサルトライフルにはちょうど良い距離だが、スナイパーライフルには短すぎる。参考までに、7.62 ×️ 54 mm弾や.308ウィンチェスター弾を使用する標準的なスナイパーライフルは、これの2倍の距離、つまり600㍍以上の標的を有効に仕留められる。
ともあれ、ASヴァルもVSSヴィントレスも軍事試験に合格し、治安機関や国防省の特殊部隊に配備された。
これらの銃はコンパクトで簡単に分解でき、一般的なスーツケースに収納できた。スナイパーは、映画の登場人物さながら、屋上でスーツケースを開き、衣類を取り出し、ケースの奥に隠された部品を取り出してスナイパーライフルを組み立てる。
コンパクトさが軍事試験で高く評価されたわけである。
「どちらの銃もチェチェン紛争で実戦に使用されていた。ロシアの特殊部隊は、テロリスト集団との戦いでこれらをうまく活用した。さらに、ロシアのマフィアのボス、『ハサン爺さん』をVSSヴィントレスで仕留めた」と開発者のピョートル・セルジュコフ氏はロシア・ビヨンドに語る。
射撃場でASヴァルとVSSヴィントレスを実射
ASヴァルもVSSヴィントレスも9×️39 mmの亜音速弾を使用する。弾は200㍍離れた第2等級の防弾チョッキをしっかり貫通する。
原因は分からないが、耳栓なしでVSSヴィントレスを撃つと、一発目は通常の9×️9 mm弾と同様の発砲音がした。サイレンサーを付けて亜音速弾を撃ったにもかかわらずだ。しかし、それ以降の弾丸はスムーズに発射され、茂みに隠れる射撃手の居場所を暴露することはなかった。
2つの銃はどちらも不格好だが、ロシアの兵器産業では「格好良さ」は追求されない。どの兵器も、さまざまな課題をこなすことを最優先に作られている。
重さはいずれもスコープなしで2.5キログラムだ。9 mm口径の亜音速弾を使用するため反動はほとんど感じられない。これらの銃は、当時民間で狩猟用に用いられても良かったように思う。軽くて300㍍先の標的を仕留められるのだ。鹿狩りにうってつけだ。
どちらの銃もAKより軽く、クリーニングもずっと容易だ。外見の魅力は不十分かもしれないが、きちんと作動する。
短所と言えば、その精度だろう。集弾率は低く、100㍍で着弾点が10㌢ほど散らばることもある。これは良い数字ではない。