ロシアが世界でリードしている分野5つ

テック
ゲオルギー・マナエフ
 近代科学技術において世界の大国は競争をしたり、協力をしたりしているが、各分野でリードする国々は文字通り、数週間、数日間で抜きつ抜かれつしている。その中で、ロシア、そしてロシアの研究者たちがリードしている分野を5つ挙げてみたい。

 当然のことながら、科学あるいは技術について、どの民族、どの国がトップに立っているかというのは比較でしか言えない。研究者たちは仕事と生活のためのよりよい条件を探し(仕事の条件と生活の条件は必ずしも一致するわけではない)、国籍や居住地を変える。出生地と科学分野での成功を収めた場所が一致しないということも多い。

 データの有限性と絶対性を主張することはできないが、ロシアがリードしている、あるいは他の国と首位を争っている科学技術の主な分野を紹介しよう。

原子力エネルギー

 ロシアは国外で建設している原子力発電所の数で世界一である。ロシアは原子力エネルギーに必要な高濃縮ウランの製造および核燃料の輸出でも世界1位となっている(国営原子力企業ロスアトムは世界の市場において、ウラン濃縮の40%、原子力発電所のための核燃料の供給の17%を占めている)。ロシアは使用済み核燃料の加工および廃棄のための最新の技術を有しており、この分野でも世界で首位に立っている。

天然資源の発見

 ロシアは世界で最大の国である(1,710万平米)。それゆえに、ロシアは飲料水と森林資源の保有量において世界でトップである。もちろん、これ自体はロシアの研究者たちによる成果とは言えないが、天然資源を発見、採掘する技術は彼らにかかっている。ロシアは確認された天然ガスやダイアモンドの埋蔵量で世界で首位に入っている。

 ロシアは世界の天然ガスのおよそ25%を保有し、この分野では安定して上位に入っている。2位はイランだが、天然ガスの保有量は世界の17%でしかなく、ロシアがこの分野で1位の座を誰かに譲ることはないだろう。 

 ダイアモンドの採掘および製造はロシアの鉱業の中でももっとも歴史のある分野の一つで、1867年にウラルの金鉱でダイアモンドが発見されて以来続いているものである。現在ロシアはダイアモンドの採掘量で世界1位、その全体の価値でも1位を占めている。またロシアはダイアモンドの埋蔵量でも1位となっており、その量は世界のすべての国の埋蔵量を大きく上回っている。加えて、ロシアの予測採掘量はすでに発見された埋蔵量の3倍から4倍に上るとされている。

アルゴリズムの構築

 HackerRank(プログラミングの問題を解いてランキングを競うサイト)によれば、プログラムの開発において、世界で常に1位を争っているのがロシアと中国である。しかもアルゴリズムの構築においては、ロシアが絶対的な首位に立っている。

数学

 1991年以降、すでに6人のロシアの数学者(ロシア在住あるいはかつてロシアに住んでいた)が数学の世界の最高の賞と言われるフィールズ賞を受賞している。受賞者は、エフィム・ゼルマノフ、マクシム・コンツェヴィチ、ウラジーミル・ヴォエヴォツキー、グリゴリー・ペレルマン、アンドレイ・オクニコフ、スタニスラフ・スミルノフである。またロシアの数学者、グリゴリー・ペレリマンが2002年から2003年にかけて、ミレニアム懸賞問題の7つのうちの1つであるポアンカレ予想を解決したことは個別に指摘しておく必要があるだろう(2020年現在、7つの問題のうち解決されたのはこの1つだけ)。

物理学

 物理学のさまざまな分野での成果の数でもロシアは世界のリーダーである。1991年以降、5人のロシア人物理学者(ロシア在住あるいはかつてロシアに住んでいた)がノーベル物理学賞の受賞者に輝いている。ジョレス・アルフョーロフ、アレクセイ・アブリコソフ、ヴィタリー・ギンズブルグ、コンスタンチン・ノヴォショーロフ、アンドレイ・ゲイムである(注:アンドレイ・ゲイムはソチ生まれだが、国籍はドイツであり、自身をヨーロッパの人間だと強調している)。

 700人以上のロシアの研究者たちが大型ハドロン衝突型加速器の建設に参加した(しかもドミトリー・ヂヤコノフ、ヴィクトル・ペトロフ、マクシム・ポリャコフはすでに1997年にペンタクォークの存在の仮説を説いていた。この説は懐疑的に見られていたが、2015年にCERNの調査で実在することが確認された)。

 この他、ロシアの物理学者らは核融合エネルギー、プラズマ物理学、重力エネルギー、電波天文学などでも上位に位置している。ロシアの物理学研究は世界でも最高水準にあると確信を持って言っていいだろう。

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