アレクセイ・トゥルチンは、最近多くの人たちと同じように、自己隔離状態に陥っているものの、無為に日々を過ごしているわけではない。彼は『不死』というタイトルの新しい本に取り組んでいるだけでなく、足の爪からDNAを採取したり、彼の夢の詳細を記録したりすることから、音を記録したり毎日行うルーティンまで、自分に関する膨大な量のデータを定期的に収集している。それはなぜか?
寿命を延長するに人生を捧げ、デジタル世界での不死を主張する彼は、ある日個人データをシステムに「ダウンロード」することによって、人が永遠に生きることができるくらいに強力な人工知能が出現することを人々は目の当たりにすると信じている。
彼が言うように、このようなデータの蓄積は、現在私たちが利用できる少なくとも三つの手順の一つに過ぎない。
二番目は、強力なAIが作成されるまで生き延びることだ。「これまでの人類の主な死因は老化であり、私たちがそれに対抗する方法を学ぶことができれば、私たちは3,000年生きることができるかもしれない」と彼は話す。「老化に対抗することは、このシナリオにおいて不死を達成するための最初のステップにすぎません。例えば、私たちが死んだら、人間が私たちの体をサイボーグに変え、最終的に自分自身をスーパーコンピュータに「ダウンロード」することを可能にするテクノロジーが創造されるのを見るだけ長生きできないからだ。」
そして、三番目の手順だ。それは人体冷凍保存、つまり、低温の液体窒素で身体や脳を保存し、いつか人類が保存された人体を復活させ、何らかの形で脳を「スキャン」してスーパーコンピュータにデジタルコピーを作成できるになるのを期待して待つのだ。
「デジタル上の不死は避けられない」
しかし、そのようなAIはいつにできるのだろうか。このロシア人研究者は、500年以上はかかるだろうと述べている。
「AIの開発はかなり速く進んでいますが、人間をコンピューターに「ダウンロード」することはまだ不可能です。成功する可能性が高くなるのは、確実に2600[年]以降のことになるでしょう」と述べ、このようなAIの、より単純で不完全なバージョンならば今後20年以内で登場する可能性はあると付け加えた。
彼が考えているように、現在進行中の新型コロナウイルスの流行は、ある点でこの研究の発展に役割を果たすかもしれない。「パンデミックは、生物学、ウイルス学、延命への関心を高めます。なぜなら、Covid-19は高齢者をより攻撃する傾向があるからです。したがって、このような脅威に対処するには、より効率的なヘルスケアシステムが必要であることがわかります。これによって潜在的に、医師が研究の優先順位を決定する上でより多くの力を得て、人類の平均寿命を延長させることにつながる可能性があります」とアレクセイは主張した。
人類は必然的に何らかの形でデジタル上の不死の出現を目にするが、『トランセンデンス』や『ブラックミラー』などの映画やテレビ番組で現在見られているものは、実際に起こるものではないとこの研究者は述べる。
「『ウエストワールド』を見て楽しんでいますが、100%正しくはありません。全てのテレビ番組は、面白くするために対立がなければなりませんが、実際の生活では常にそうだとは限りません」と彼は説明する。「そこでは、スーパーAIはしばしば魂のない、または不完全なものとして描かれていますが、必ずしもそうなるとは限りません。」
彼の見解では、理想的な状況は、人類が人類の「友達」になるAIを発明することだ。「それは、人間の価値を維持することに関心があり、私たちの歴史の完全なモデルを作成し、それぞれの個人をこのシミュレーションの一部として再構成することができるものです。したがって、私たちは「二度だけ」生きることが可能になります。」