ロシアでのテクノロジーを用いたコロナウイルスの潜在的な患者の追跡

テック
ヴィクトリア・リャビコワ
 ロシアでコロナウイルス患者の移動の監視が始まった。それにより感染した人と接触した全ての人々が自己隔離すべきだということが警告される。この監視システムがどのように実行され、それが市民の権利を侵害しているかどうかをこの記事で伝える。

何が起こったのか

 ロシアの首相ミハイル・ミシュスチンは、ロシア情報技術・通信省にコロナウイルス患者と接触している市民を追跡するシステムを作成するよう指示した 。そのシステムではSMSメッセージを利用して自己隔離の必要性が警告される。このシステムは、2020年3月末までの、できるだけ早い時期に作成する必要がある。

このシステムはどのように機能するか?

 次のように収集された情報で市民の追跡を行う。

これは可能か?

 技術的にはこのようなシステムを作成することは可能であると、ロシアの携帯電話会社メガフォンが雑誌『コメルサント』の記事で伝えた。例えば、ロシア非常事態省でも同様の方法を用いて、緊急事態について市民に警告を発している。

 「しかし、情報技術通信省によって提案されたこのプロジェクトを実施するために必要なメカニズムはまだ完全には理解されていません。これを実施するには規制分野の変更が必要とするかもしれません」と、メガフォンは伝えた

 密集した建物のある場所でも加入者の位置を追跡することは可能だが、誤差は約50メートルになると、匿名希望のとあるロシアのモバイルオペレーターは述べた。村や田舎では誤差がさらに大きくなると、このオペレーターは確信をもって話した。 

これは合法か?

 ロシア大統領の報道官ドミトリー・ペスコフは記者団に対し、この追跡システムは市民の権利を侵害していないと語った

 人権団体アゴラの弁護士も、市民の動きを追跡することは合法的だと考えているが、それはコロナウイルス患者が同意した場合に限られる。患者が拒否した場合は、審問調査行動の枠内、または刑事事件の場合のいずれかで、裁判所の命令によってのみ移動を追跡することが可能だ。

 また、位置情報がコロナウイルス患者と接触している人の名前、電話番号、住所に関連付けられている場合、追跡は違法となり、救急隊がその人たちを救いに出動する。弁護士によると、これはすでにプライバシーの侵害に当たる。 

追跡はすでに進行中だ

 3月24日、テレグラムチャンネルMashは、モスクワでのコロナウイルスの拡散図を公開した。コロナウイルスに感染した人すべての家の住所が表示されている。

 「なぜ誰も、私たちに親戚や私生活のプライバシーがあると考えないのでしょうか?ソーシャルネットワークに私の住所を公開する許可を取りに来る人はいないのです。母には、嫌がらせを受けたり、恐怖を感じてほしくはありません。私は人権団体に連絡します」と、住所リストに自分の家が載ってしまったマリア・ムヒナは話した。

 このような苦情に関して、人権団体アゴラは3月19日にコロナウイルスに関連する問題についての法的支援本部を立ち上げた。

 「3月23日までに、100人以上の人々がアゴラの法的支援本部に申し込んだ」と、責任者のパヴェル・チコフは彼のFacebookページに書き込んだ。彼によると、最も緊急の問題は、入院を余儀なくされた患者や、コロナウイルスの分析結果の証明書を取得できない人だ。

 また、一時的な居住許可を持っている市民がロシアに戻ることが不可能であることについて、そしてツアーやフライトをキャンセルしたのにお金を返すことを拒否されていることについて不満が述べられている。 

 「法的支援本部はまた、病気休暇、在宅勤務、一時的なダウンタイムの問題について連絡を受けています。アゴラの弁護士は申請した全ての人に助言をしました。当社は引き続き活動しています」とこの組織の責任者は書いた

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