このブラシは、何らかの事情でお風呂やシャワーが使えない人たちが体を洗えるというもの。イリーナさんは、寝たきりの祖母の介護をするなかで、浴室に行かずに体を洗ってあげることはできないものかと考案した。濡れタオルやウェットティッシュも試したものの、使いやすいとは言えないと感じたイリーナさんは、ネコの舌の構造をヒントに自分で機器を開発しようと決めた。
イリーナ・サモイロワ
Lexus Design Award 2020ネコの舌には小さな性繊毛があり、それがブラシのような役割を果たし、毛の汚れを擦り取るのだが、Lickにはこのアイデアが応用されている。性繊毛を使って、髪や毛のある部分や届きにくい局部の肌をきれいにすることができる。機器は外枠の中に液体の入った容器と回転する柔らかいブラシのようなものが入った作りになっている。ブラシ部分が汚れたときには取り外すことができる。
イリーナさんは、この機器の重要な特長は持ち運べることだと指摘している。「これはいわば指先で操れる革新的なミニバスルームのようなもの。お風呂やシャワーを使えない状況にあるときに非常に便利なものです」。
コンクールでこの作品が入賞したことについて、トヨタレクサスグローバルデザインを統括するサイモン・ハンフリー氏は「着眼点の重要性、革新的なアイデア、クリエイティヴなコンセプト、そして“よりよい未来のためのデザイン”という原則に合致していることが入賞の理由となった」と述べている。
現在、イリーナさんはレクサスと共同で、見本市Milan Design Week 2020に出品するため、実用品の開発に取り組んでいるが、すでに大量生産も視野に入れているという。
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