ロシアには正真正銘の特殊部隊大学がある。精鋭中の精鋭たちがしのぎを削る様は、まるでハリウッド映画の撮影風景のようだ。訓練の様子をご覧に入れよう。
5月の初め、チェチェン共和国でロシアと独立国家共同体のスペツナズ(特殊部隊)による演習が行われた。招かれたのは精鋭中の精鋭たちで、各自の経験を共有し、それぞれの能力を示し合った。
ロシア特殊部隊大学の教官らがさまざまな危険な状況を再現する。兵士らの課題は、「戦闘員」を掃討して人々を守ることだ。
1.封鎖。スペツナズの班が戦闘態勢に入り、郊外にある住居のすべての入口と出口を封鎖する。この間、窓や戸口に「テロリスト」が現れるが、隊員らは彼らを一掃しなければならない。課題は、建物を強襲することなく「戦闘員」を倒すことだ。
2.外交官。これは街や住宅地から離れたところで行われる「索敵殲滅」作戦を想定している。シナリオでは、領事館のVIPが「戦闘員」に拉致され、山間部の基地に連れ去られる。偵察部隊が基地を発見し、本部に連絡する。本部からスペツナズを乗せたヘリコプターが派遣される。まずスナイパーがヘリコプターの窓から基地の境界に立つ見張りを狙撃する。その後強襲班がロープで降下し、建物内のすべての「テロリスト」を殲滅、VIPを救出する。
3.捜索。これは山岳・森林地帯で行われる作戦だ。スペツナズの班は、ロープで山川を渡り、それから「戦闘員」のキャンプを発見し、指定された地域の「テロリスト」を全滅させなければならない。
4.砂漠での急襲。これは90年代初頭のサハラ砂漠での軍事活動を模倣している。スペツナズは急襲用の車両(この場合はバギー)に乗り、敵の防御線を破って砂漠地帯の陰に潜む「戦闘員」を殲滅せねばならない。
5.日没から日の出まで。この課題は、占拠されたナイトクラブから人々を解放する状況を想定している。人質の解放は大音量の音楽と混沌の中で実行され、天井の灯りが消えて舞台照明が輝くさまざまな空間で、多くのマネキンの中から民間人と敵を特定せねばならない。
6.式典会場。これは、スペツナズが人的損害を受ける戦いを想定している。シナリオでは、兵士の一人が被弾し、仲間は敵の銃撃の中彼を安全な場所まで運び出し、応急処置を施さなければならない。
7.山間部での待ち伏せ。スペツナズのスナイパーは、山間部で「戦闘員」の隊列を待ち伏せし、首領の頭を撃ち抜かなければならない。その後他の兵士も加わり、残った「テロリスト」を殲滅する。
8.隊列への攻撃。これは逆の状況だ。「戦闘員」が、山間部の指定されたルートをバギーで移動するスペツナズの班に攻撃を仕掛ける。演習ではもちろん、誰も仲間には発砲しない。移動の際に現れる目標を、攻撃バギーで移動しながら破壊しなければならない。
9.夜間の戦闘。これは夕暮れ時の山林での戦闘を想定している。移動や「戦闘員」との戦闘のさい、スペツナズは暗視装置しか使えない。照明やその類のものは一切ない。しかも、班は「テロリスト」が予め設置した演習用の仕掛け線や地雷が埋まる地雷原を通過せねばならない。