ロシアは徴集兵なしで戦争に勝てるのか

Sergey Kiselev/Moskva Agency
 勝てる。だがそのためには、30万人の志願兵を補充しなければならない。そして国の男子の大半を予備兵として確保し続けることを断念する必要がある。

 「[ロシアにおける]徴兵制は次第に過去のものになりつつある」とウラジーミル・プーチン大統領は4月半ばに声明を出した。

 これを受けてロシア社会では、長年待ち望まれている男子徴兵制の廃止に関する議論が再燃している。

 大統領は、熟練者でなければ操作できないハイテク兵器が次々に登場していることを強調した。そうした兵器を扱うことのできるスペシャリストを養成するためには、ロシア人男子が祖国防衛のために軍に捧げる一年という短い時間では到底足りないということである。しかし、ロシアの普遍的な制度である徴兵制をそう簡単に廃止することができるのだろうか。

ロシア軍の中核は志願兵

 2000年代末から、ロシアでは軍の最新化プログラムが始まった。その一環として、ハイテク兵器の購入に約22兆5000億ルーブル(現在の相場で約3500億㌦)もの予算が割かれた。現在、最新兵器の割合は兵器の総数(ソ連時代の遺産を含む)の68㌫を占める。これは、総勢101万3628人の軍と、防衛すべき1700万平方㌖の領土を持つ国にしては小さくない数だ。

 現在、ロシア軍には約38万4000人の志願兵がいる。2018年末にロシア連邦軍参謀本部が提示したデータだ。なお、国防相は2025年までにその数を47万5000人にまで増やすことを目標に掲げている。軍の残りの人員は、徴集兵と将校だ。

誰を採用するか

 志願兵の要件は「徴兵制度及び兵役に関する法律」で定められている。これによれば、候補者は希望する軍種に応じて特定の医学的指標をクリアし、身体的な要件(俊敏さ、忍耐力、体力)も満たさなければならない。しかも、年齢制限の上限は40歳だ。

 中等教育を修了している必要があり、一年間の兵役経験がなければならない。さらに、候補者には前科があってもならない。

 候補者がすべての指標をクリアすれば、晴れて軍に入隊できる。一兵卒の給料は約3万ルーブル(約500㌦)だ。給料は勤務地や勤務条件、地位によって変わる。

志願兵の生活は楽か

 「国家と契約」した者は、徴集兵とは全く異なる法的地位を得る。志願兵の兵卒は、ほとんど将校と同権である。労働時間ははっきりと決まっている。駐屯地内の兵舎ではなく自分の家で暮らせる。駐屯地から自由に出ることもできる。

 その上、月に2回安定して給料がもらえる。支払いに遅滞はない。契約も安定的で、明日に不安を感じたり失職の心配をしたりする必要はない。

 こうしたメリットはあるものの、深刻なデメリットもある。一般的な職場と違って、ここでは上司に「いいえ、私はやりません」と言うことはできない。そんなことをすれば、上官の堪忍袋の緒が切れた時点で解雇されるだけだ。「奉仕」という概念は、自由意志や身勝手を前提としていない。「攻撃」の命令が下れば、機銃掃射の中、塹壕から飛び出して敵に突撃しなければならない。

 想定される有事への準備は、「取って来い」訓練、何㌖ものオリエンテーリング、射撃、野外訓練、兵器の整備など、小さなことから始まる。特に怠惰で気ままな行動が目立つ兵士は、命令不履行や軍規定の違反があり次第、再教育矯正大隊に送られる。これは兵士刑務所とでも言うべきもので、一般的な刑務所と同様の規律、風紀、一日のルーティンがある。

なぜ当面徴兵制を廃止できないのか

 第一に、徴集兵は戦時に軍の主要な予備兵となる。彼らは、すでに身体的にも、さらに重要なことには精神的にも、軍に奉仕する準備ができた人々だからだ。彼らは射撃ができ、兵器の扱い方(何年もミサイル防衛に従事しているスペシャリストほどの水準ではなくても)を知っており、何より重要なことに、規律とは何か、命令とは何かを知っている。

 第二に、志願兵を追加募集しようとすれば、国は多額の出費を避けられない。徴兵制の廃止は段階的に実現していくしかないだろう。

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