ロシア軍の「大蛇」:マカロフ拳銃に代わり得る銃が開発される

ニキータ・オセトロフ撮影/TsNIIトチマシュ・コンツェルンのプレス・サービス
 新しい拳銃は、50メートルの距離から厚さ4ミリメートルの装甲板を貫くことができる。ロシア軍の次世代の主要拳銃の座を巡って、カラシニコフ・コンツェルンのPL-15と競合することになりそうだ。

 トチマシュ・コンツェルンが、新拳銃SR-2「ウダフ」(「大蛇」)を国内外に向けて発表した。この拳銃は、ロシアの警察や軍の主要拳銃であるマカロフ拳銃に取って代わる可能性がある。 新拳銃は強力な9✕21ミリ弾を使用するが、これは同銃に、マカロフ拳銃やヤルィギン拳銃といった既存の銃に対する優位性を与えている。ヤルィギン拳銃やマカロフ拳銃の弾薬と「ウダフ」の弾薬の違いは、後者の方が威力が強く、かつ破甲弾を使用する点だ。

 「ウダフ」の標準的な弾丸は、50メートルの距離から厚さ4ミリメートルの鋼鉄製の装甲板を貫くことができる。サイレンサーを取り付けて射撃する際は亜音速弾を用いるが、貫通力は標準のものを上回る。 現在、「ウダフ」の開発は極秘裡に行われている。新拳銃の試験は2019年3月に行われる予定で、軍や警察の標準装備として採用されるか否かもその時に決まる。

どのような機構か

  このモデルは、グリップとスライドから成る古典的なT字フレームを用いて作られている。拳銃の製作に当たって、開発者らはポリマーをふんだんに使った。とりわけグリップとフレームだ。金属のみでできているのはスライドとマガジンだけだ。銃の機構のタイプは明らかにされていないが、マスコミの情報によれば、バレルのフランジと薬莢の排出口との相互作用によってロックが実現されるスイングバレル方式が採用されているという。

 この銃は、後方に突き出したリボルバー風のハンマーによるダブルアクション機構を備えている。マガジンには、9✕21ミリ口径の弾薬を18発装填できる。操作部は片側だけにあり、右利き用となっている(主要なライバルであるカラシニコフPL-15は、両側に操作部がある)。

  新拳銃のサイレンサーは3Dプリンターで作られる。銃の下部には、フラッシュライトやレーザーポインターなどの戦術的付属部品を取り付けるレールがある。 「ウダフ」の重量は、マカロフ拳銃の730グラムをやや上回る780グラムだ。発砲時の反動はマカロフ拳銃と変わらない。

 銃のより詳細な技術特徴は機密扱いで、すべては国防省の委員会がマカロフ拳銃に代えて新拳銃を採用するか否かを決める国家試験の終了後に公表される予定だ。

「ウダフ」の主要なライバル

  ここ数年、カラシニコフ・コンツェルンはPL-15拳銃を理想形に近づけてきており、2018年10月にはそのコンパクト版を発表した。 旧式のマカロフ拳銃と比較した際の新しいPL-15の長所は、操作部の動きが非常に滑らかで、射撃手の指に見事に収まる点だ。マガジンキャッチのボタンとスライドストップが、従来のモデルとは違い、手のひらの中で銃をずらす必要も、過度の指圧を加える必要もないようにできている。

  またこの銃はトリガーが非常に軽く、引く長さの短いものと長いものの2つのバージョンが開発されている。前者は毎日のように射撃訓練を行っているスペシャリスト用のものだ。 後者の、引く長さの長いトリガーは、訓練の不十分な射撃手のために開発されており、しっかりと目標を仕留めることができる。さらにトリガーは、アドレナリンが分泌され筋肉が硬直する緊張状態で誤発射したり、自分の足や近くに居合わせた人の足を撃ち抜かないよう工夫がなされている。

  定期的に射撃をする人ならば、初心者が意図せずにトリガーを強く引いてしまい、照準が上や横にずれてしまうことを知っている。設計者らは、マカロフ拳銃に代わる銃の開発に当たってこの重要な点を考慮に入れ、PL-15の射撃時の反動を最大限小さくした。

  この銃は、バレルの反りによる古典的なロック方式で作動する。この方式は、世界の大半の短銃メーカーに採用されている。PL-15の標準的なバレルの長さは120ミリメートルで、銃全体の長さは207ミリメートルだ。サイレンサーを取り付けるための長めのバレルを備えたモデルもある。さらに、21世紀のあらゆる銃と同様、PL-15には光学照準器、フラッシュライト、レーザーポインターを取り付けることができる。

  新拳銃の考え得る唯一の欠点は、量産モデルに関して、故障せずに何発連射できるかまだ予測できない点だろう。

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