ロシア軍は20年代初めにどのような新型ロボット兵器を導入するか

テック
ニコライ・リトフキン
 ゲーム「コマンド&コンカー」に登場するような自動追尾銃座や水中ロボット偵察機が、近い将来ロシアの国境警備に当たることになるだろう。

 ロシア軍では、人工知能を備えた兵器を補充する準備が進められている。その一つ、ゲーム「コマンド&コンカー」の二連式機関銃の回転銃座を思わせる戦闘モジュールが、10月初めにカラシニコフ・コンツェルンによって公開された。

初の回転銃座

 カラシニコフ製ロボットの人工知能はニューラルネットワークに基づいて作られており、作業の過程で学んで成長することができる。このようなわけで、12.7mm口径の機関銃を備えた銃座は、目標を自分で発見して識別し、重要度の優先順位を見定め、目標それぞれの危険性に応じて順次破壊することができる。例えば、まず10人の兵士が乗った装甲兵員輸送車を蜂の巣にし、それから戦場の個別の目標に狙いを移す。 

 なお、人工知能の機能を切って人間が銃を制御しても何ら支障はなく、その間機械はディスプレイに戦場の敵を映し出す。

 このロボット兵器の特徴は、敵の歩兵や軽装甲車両などの地上の目標だけでなく、海上や空中の目標に対しても作動可能である点だ。このためこの兵器は、米露率いる同盟軍が近東で行った軍事作戦の際に深刻な脅威となった小型無人機に対する極めて効果的な対処手段となり得る。 

 このような戦闘モジュールは、トーチカに個別に設置することもできるし、一斉攻撃用の統一ネットワークを構成する複数の回転銃座の一つとして設置することもできる。

 カラシニコフ・コンツェルンの発表によれば、銃座は動物などの危険性のない目標を攻撃対象から外す判断を自分で行うことができる。これにより、動物などが誤射される可能性は最低限に抑えられる。

 「ロボットの人工知能には、目標の外観、動き、熱放射など、予め目標に関するデータベースが入力されている。しかもデータベースは自己学習アルゴリズムによって常に更新され、補強され、拡充される。技術者らは、温度や赤外線スペクトルの光度などに基づく補助的な目標探知システムをマシンの内部に追加することもできる」とカラシニコフ・コンツェルンの関係者はロシア・ビヨンドに話す。

 加えて、これらの戦闘モジュールを軍事的・国家的施設に設置することで、例えば眠気や疲れなど、防衛に影響し得る人的要素を排除することができる。

 現在システムはカラシニコフ・コンツェルンにて試験中で、順調に行けばロシア全国の軍事拠点や重要な国家施設の領域を防衛する初の人工知能機関銃回転銃座となり得る。

 技術者らが回転銃座の開発と試験に取り組んでいる一方、国防省は海の底から来る招かれざる客から自国の国境を防衛するため、水中ロボット偵察機の導入を進めている。

水中ロボット偵察機

 「ガルモニヤ」(「ハーモニー」)と名付けられた新システムは、海や大洋の底に設置されたロボット音響観測所のネットワークだ。どのロボットも、マイナス10℃からプラス45℃の水温で作動できる。 

 システムはソナーを利用して、太平洋の音響観測を行う。目標を発見すると、信号がケーブル沿いに水面のブイに伝えられ、その情報が衛星を通して管制室に送られる。

 ロボット観測所は必要に応じて自動的に収縮し、近くを通過する潜水艦によって回収されることもできる。

 「ガルモニヤ」によって、ロシア艦隊は全方位数百キロメートルの海中の出来事をほぼ完全に統制する能力を手に入れる。

 「太平洋中立水域の米英仏の戦略潜水艦配置地点にシステムを展開する予定だ」と「イズベスチヤ」紙の元軍事評論家ドミトリー・サフォノフ氏はロシア・ビヨンドに語る。

 彼は、活動に際してロシアが国際海洋法の条項に則り、敢えて他国の領海を侵犯したり、他国の領海で軍事活動を行ったりすることはないと強調する。

 「米軍は同様の偵察システムをノルウェー海、バレンツ海、日本海に展開している。彼らは海中システムだけでなく衛星も利用して、我々の潜水艦の動きをつぶさに監視している」と評論家は付言する。

 彼によれば、このシステムは2020年代初めまでにロシア国境を完全に「閉鎖」し、中立水域における潜水艦の動きを監視する予定だ。