数年前までロシア国内の演習場を走り回っていた軍用車両を誰でも購入できるオンライン・ショッピングモール「全地形対応軍用車両協会」がロシアに登場した。
何が買えるか
そう、あなたはロシアのインターネットで第二次世界大戦期の戦車T-34を買うことができる。ソ連軍はこの戦車でベルリンまで至ったのだ。このような兵器の値段は1250万ルーブル(現在のレートで約20万㌦)だ。
レトロに興味のない人には、その次の世代のロシア製戦車T-72か、1000馬力のガスタービンエンジンを搭載したT-80がお薦めだ。後者は起伏に富んだ土地でも最大で時速70キロメートルまで加速できる。値段はそれぞれ2200万ルーブル(約35万㌦)と3700万ルーブル(約50万㌦)だ。
これが100キロメートル当たりの消費ガソリンが7㍑の小型乗用車でないことは注意しておこう。T-72は、起伏の多い土地で100キロメートル進むと450㍑の軽油を消費する。戦車でドライブしたいなら、家のそばに自家用ガソリンスタンドを作ることも検討するべきだ。
戦車にどのような変更が加えられているか
残念だが、夜間に騒ぐ隣人に向けて大砲を放つことはできない。戦闘用の部品はすべて車体から取り除かれ、主砲の125mm砲は雀を撃つこともできない。
しかし、戦車の残りの部品は理想的な状態で保たれており、森や野原を縦横無尽に走るのに最適だ。
そう、森と野原限定だ。長距離トラックの運転手や乗用車の子供を怯えさせることは誰も許してくれない。しかも、無限軌道式の50トンの車両が通った道路を舗装し直すだけの金を常に貯めておくことは不可能だろう。
モスクワで戦車を買う方法
「全地形対応軍用車両協会」の関係者がロシア・ビヨンドに語ったところでは、戦車の購入には身分証明書以外の書類は一切必要ない。
「すべての車両が顧客それぞれの注文に応じて整備される。5月9日の戦勝記念日前にT-34が売れることが多い。国内の企業家やパトロンが、戦勝記念日を前に戦没者の冥福を祈ろうとT-34を購入する」と協会の全地形対応軍用車両開発マネージャーを務めるエヴゲーニー・テン氏は話す。
ただし、この会社は「戦車を国外に」供給することはない。戦闘用の部品がなくても、これらの車両は兵器と見なされるからだ。戦車工場に送れば、元通り戦闘可能な状態に戻せてしまう。もし外国人が自分だけのT-80やT-34を買いたければ、ロシア連邦内に自分の土地を買って、そこに戦車を置いておかなければならない。