ソ連の巨大自動車:全長30㍍・車輪24輪(写真特集)

 ソビエト連邦では、本当に巨大な自動車が生産された。経済と国防のために、大きさが必要だったのだ。

1. MAZ-530 

 ソ連は多くの建設プロジェクトを抱えており、頑丈なダンプトラックを必要としていた。そのようなトラックとして最も普及したものの一つが、ミンスク自動車工場(MAZ)が1950年代に生産した、最大積載量25トンのMAZ-525だ。しかし間もなく、より強力なトラックが必要だということが判明した。そこで1957年に開発されたのが、最大積載量40トンのMAZ-530である。1958年、このトラックはベラルーシで開催された世界産業博覧会においてグランプリを獲得した。

2. BelAZ-540

 しかし、試験を重ねた結果、MAZ-530はあまり実用的でないことが明らかになった。砂地での方向転換に難があったのだ。MAZ-525とMAZ-530に取って代わる新しいトラックが、ベラルーシの首都ミンスク郊外のジョジナにソビエト当局が設立したベラルーシ自動車工場(BelAZ)で開発された。BelAZ-540と名付けられたこのモデルは成功を収めた。このトラックの典型は、人気のソビエトコメディー映画『ガソリンスタンドの女王』(1962)の中見ることができる。積載量(27トン)こそインパクトは少ないものの、砂地での運用に便利だということが証明され、数十年にわたって使用された。

3. BelAZ 75501 

 ベラルーシ自動車工場の次なる開発製品が、ソ連最大のトラック、BelAZ 75501だ。最大積載量は280トンで、これは先にご紹介した2モデルの10倍だ。このトラックは日本の重機メーカー、コマツと共同で開発された。このトラックには、ソ連で初めて、後部カメラと積載モニタリング電子システムが搭載された。この巨大な車のエンジンはモスクワ郊外にある工場で生産され、3150馬力もあった。

4. NAMI-058 

 このソビエト製巨大自動車はトラックではなく、輸送車だ。表向きは、このモデルは国内経済の需要に応えて開発された。だが実際の主な目的は、大きな弾道ミサイルを運ぶことだった。この輸送車はモスクワに拠点を置く研究機関NAMIによって1960年代に設計された。全長17㍍、12輪すべてが動輪で、最大積載量は25トンだ。時速45キロメートルというそれなりの速度も出せた。ただ、政府の専門家は生産過程が複雑すぎるとして、この開発品が試験段階より先に進むことはなかった。

5. MAZ-7907 

 1980年代、同じく大きなミサイルの輸送という目的で、より大きなモデルが開発された。MAZ-7907の車輪の数は24だ。重量105トン、全長約23㍍の新型ミサイルを運ぶことを想定していた。したがって、MAZ-7907の最大積載量は150トンで、長さ28の積荷を運べるよう設計されていた。24輪もの動輪を持つ自動車は世界でこれだけだ。この輸送車の旋回半径は27で、その車長を考慮すれば驚くほど小さい。これは、複数の車輪を同時にさまざまな方向に向けることができるようにした成果だ。冷戦の終結でいくつかのミサイル計画の開発が中止されたため、この車は2台しか製造されなかった。

6. MZKT-79221 

 従来のモデルの開発を通して蓄積された知見は、弾道ミサイル「トーポリM」専用の輸送起立発射機MZKT-79221の開発に応用されている。この車は、ミンスク自動車工場と、自動車向けのディーゼルエンジンを供給しているヤロスラヴリ・モーター工場の協力の結果誕生した。最大積載量は80トンである。

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