ロシアの「ヤーセン」級及び「ボレイ」級の第4世代原潜が、「ガソリンスタンド」での燃料補給なしに世界の大洋を周回することができるようになる。
これが可能となったのは、ロシア国内での平和利用・軍事利用目的の原子力エンジンや核設備の製造しているロスアトム・コーポレーションの成果だ。ロスアトムはすでに2017年に「アクティブゾーン」(核燃料が格納される原子炉の中心部)の実験を終えた。この情報は、8月7日に行われたロスアトムの年次報告の際に公表された。
これで何が可能になるか 第一に、このような発明は経済的利益を約束している。ご自分のガレージに、一度もガソリンスタンドで給油することなく地球を一周走れるベントレーがあると想像してみよう。実に便利ではないか。 これまで、原潜はすべて5〜10年に一度は「給油」しなければならなかった。
原子炉に燃料を補給するためには、潜水艦を分解し、原子力エンジンを取り出し、それを鉛製の気密容器に入れ、使用済み核燃料を処分し、新しい原子炉に核燃料を充填する必要がある。
このプロセスは国の主戦力兵器の一つを少なくとも1ヶ月間戦列から外すことになる上に、国家に何百万ルーブルもの出費を強いる。
原潜以外の使い道 2018年3月初旬、ウラジーミル・プーチン露大統領は、「永久」原子力エンジンの原理に基づいたもう一つの国産兵器開発を世界に紹介した。
これは巡航ミサイルで、地球を何度も周回でき、南極に隠れようとも敵に打撃を与えることができる。
「我々は目標への飛行に弾道軌道を一切用いない新しいタイプの戦略兵器の開発を始めた。つまり、これを防ごうとミサイル防衛システムを使用しても無益で、そもそも無意味だ」とプーチン大統領は話す。
元イズベスチヤ紙軍事アナリストのドミトリー・サフォノフ氏は、ロシア・ビヨンドの取材に対し、この新型ミサイルの外観はロシアのX-101や米国のトマホークに似ていると説明する。
「だがロシアの新兵器の内部にはコンパクトな超強力核エネルギー装置が搭載されており、これによって新兵器の目標までの航続距離が何倍にも増している(「トマホーク」とX-101の射程距離は、それぞれ2500㎞と5000㎞)」とこのアナリストは指摘する。
しかも、ロシアの新しい兵器は低空飛行をするため発見されにくい。簡潔に言えば、このミサイルは、現代のミサイル防衛システムでは追いつけないような超音速で地形をなぞるように目標まで飛行できるということだ。
「飛行距離に限りがないため、好きなだけ飛行を持続させることができる。ご存知のように、世界中どの国にもこのような兵器はない。多分いつか他国でも開発されるだろうが、その頃には我々の子供たちが何か新しいものを考え出しているだろう」とプーチン大統領は述べている。