「兵役や大学の軍事講座が終わってしばらく経つと、技能を忘れてしまう。それを取り戻すことが主な目的だ。別に、大規模な戦争や第三世界での軍事作戦の準備として行うわけではない」。イスベスチヤ紙の元アナリスト、ドミトリー・サフォノフ氏はこう述べた。
毎年、ロシア大統領は、軍隊勤務に適した予備役のロシア国民について、その軍事訓練に関する大統領令に署名する。その結果、約5千人の「非現役軍人」が、最大で約2ヶ月間、軍に召集され、訓練を行う。
「召集される可能性があるのは、軍事講座を持つ大学の最終学年の学生とか、特殊な技能を備えた男性。つまり、現在の軍隊に不足している人材だ。こういう人たちは、大規模な演習などには不可欠。例えば、昨年の大規模な軍事演習『West-2017』では、現役の軍事要員に加えて、演習が行われた地区の近くに住む若者たちが参加していた」。アナリストはこう指摘する。
彼によると、今日の軍隊には、プログラマやそれに類するコンピュータ技術をもつ人材が非常に不足している。軍隊には、多くのハイテク機器が装備されつつあるので、その操作とメンテナンスのため、高度な知識技能を有する専門家がいよいよ必要になっている。
予備役は、自分の専門分野に従事するほか、あらゆる種類の軍事訓練を行う。速足で行進し、演習場に行き、ある者は勉強し、またある者はピストル、小銃、機関銃、狙撃銃による射撃の技を身につける。
さらに、「技術者」は、輸送車両や装甲車両の整備、メンテナンスも行うことになる。
「戦時には、課せられた任務を遂行できるようでなければならない。技術的な専門知識をもつ人々は、戦車、装甲車両、大砲などの操縦および整備に従事しなければならない。予備役のなかには、これらの車両に乗って演習場に出る者もいるだろう」。アナリストはこう述べた。
こうした予備役再訓練の理由は、何よりもまず、祖国防衛の方法を常に身につけておくようにすることだと、アナリストは強調する。
可能性としては、予備役にあるロシア国民なら、誰でも召集され得る。それはつまり、60歳未満の事実上すべての男性ということになる。
「もちろん平時には、予備役が全員召集されるような状況はかつてなかったが、法律では、理論的にはそういう事態も想定され得るということ。だが実際に召集されるのは、基本的には若い予備役の兵士と将校で、ふつうは30歳未満の人。それ以上の年齢の人は召集されない。若者だけで十分だ」。「祖国の兵器」誌のヴィクトル・ムラホフスキー編集長は、ロシア・ビヨンドにこう説明した。
ムラホフスキー編集長によると、プログラマのほかに最も必要とされる予備役は、自動車化狙撃兵(機械化歩兵に相当する兵科)部隊、沿岸警備隊、ロケット軍の専門家、およびエンジニアと通信専門家。しかし、2か月間以下の訓練に召集されるのは、あくまで、今この時期に必要とされるような人々か、軍事講座で学んでいる大学生である。こういう大学生はもともと、さまざまな部隊で訓練を受けることになっている。
企業、事務所の仕事を離れて参加する者は、職場での平均給与額のほか、8〜10ドルの日当をもらう。「これは、ロシアの遠隔地の住民にとっては悪くないボーナスだ。そこでは1ヶ月約500ドルが良い給料なのだから。もっともこれは、現在のレートでの換算だということを断っておく」。ムラホフスキー編集長はこう述べた。
さらに、軍事訓練の現場で能力を発揮した者は、軍の階級を与えられる。
「召集に応じなくても刑事罰はない。行政からの警告または10ドル以下の罰金を科せられるだけ」と、編集長は付け加えた。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。