今後2カ月以内に、ロシア連邦国防省は、2018年~2025年の国の兵器調達計画の最終版を作成する予定だ。
ロシアの政策の重要な目標の一つは、世界の海洋でNATO(北大西洋条約機構)軍とのパリティーを達成するとともに、北極圏での国益を守ることだ。
そのためロシアは、海軍の艦隊を増強する計画だが、しかし今のところ、実現までにはやや距離がある。
「ロシアに必要なのは、4隻の空母、そして各艦隊ごとの飛行隊、そして、多数の戦闘艦およびそれらを護衛する潜水艦だ。それが実現できれば理想的だが、経済的な現実は、そんな野心的な計画の実現をなかなか許すまい」。イズベスチヤ紙の軍事評論家、ドミトリー・リトフキン氏は、こうロシア・ビヨンドに語った。
それでも、ロシア海軍にとってとくに重要な2つの大プロジェクトが進行中だ。
新世代の巨大原子力砕氷船、LK-110Ya級「リーダー」
「北極圏は、ロシア経済だけでなく、世界経済の将来の鍵でもある。だから、ロシア政府は、資源採掘から軍事防衛にいたるまで、この地域のプロジェクトに大きな資金を投入している」。リトフキン氏は続ける。
同氏によると、ロシアの北極圏での経済発展のための、主要プロジェクトの一つは、新世代の巨大原子力砕氷船、LK-110Ya級「リーダー」の建造だ。
ロシアの艦隊では、いまだにソ連時代に建造された砕氷船が使われているが、「リーダー」建造は、それらを更新するための巨額プロジェクトの一つだ。この新鋭艦は、14ノット(約24 km / h)の速度で航行し、最大で厚さ4.4 mの氷を砕くことができる。2基の原子炉と、複合材料で強化された船首のおかげで、それが可能になる。
「これは、輸送船、旅客船、軍艦のための“道路清掃業者”になるだろう。氷を切り開いてできる航路の幅は約50メートルにもなる」と、リトフキン氏は付け加えた。
排水量は8万〜12万トン。北極海航路での救助船としても機能する。
超巨大空母
最も期待され、広く議論されている船の一つが、航空母艦「シトルム」「プロジェクト23000E」で、世界最大級の空母となる見込みだ。
「シトルム」は、“古典的な”空母の規格で建造される。つまり、戦闘機や爆撃機は別として、甲板上には武装はない。全19隻のアメリカ空母と同じく、戦闘艦と潜水艦の艦隊により誘導、護衛される。
2基の小型モジュール炉「RITM-200」を搭載することで、最大30ノット(55km / h)で航行できる。100,000トンの排水量を有し、吃水は11メートル。乗組員は約4000人だ。
資金上の問題のほかに、この空母で使用できる戦闘機も製造しなければならない。海軍航空隊用に改造し得る候補がいくつかある。
その一つ、第5世代戦闘機「Su-57」は、現在テスト中。第4++世代戦闘機「MiG-35戦闘機」も検討されている。これは今年初めて、モスクワ近郊のジュコフスキー空軍基地で毎年開催される航空ショー「MAKS-2017」で公開された。
さらに、「シトルム」には特別なドックとインフラも必要になる。インフラはまだ建設中なので、「シトルム」関連の総予算は安くないだろう。ロシア国防省が武器調達計画の詳細を確定した後に、数か月以内に、ロシア軍がこうしたプロジェクトを実現できるかどうかが分かる。