地球のマントルに未知の層あり

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 地球のマントルに未知の層があることを、研究者が発見した。この層は膨大な量の液体酸素を含んでいる。酸素はいかにして生じたのだろうか。

 ロシア、アメリカ、ドイツ、フランスの物理学者と生物学者などからなる国際的な研究チームは、これまで知られていなかった層が地球のマントルにあることをつきとめた。研究者の試算によると、地球の大気の8~10倍の酸素が層に含まれているという。

 「これは我々にとって大きなサプライズだった。地球の奥深くでこの『酸素の川』に何が起こっているのかは、今のところわからない」と、研究チームのメンバーであるエレーナ・ブィコワ氏は話している。研究者の見解では、酸素の川は周囲の岩と相互作用しあいながら、それらを酸化させ、同様にマントルの上の層へと上昇し得るという。

 研究者は迸入岩の主な成分の一つであるさまざまな種類の酸化鉄の反応を観察し、地球内部に酸素のたまり場があることを発見した。

 

24億年前の「大酸化イベント」

 マントルにどうして酸素があるのだろうか。デンマーク工科大学物理学部の上級研究員イノケンティ・カントル氏はこう話す。「我々の誰もが生きるために必要としている大気の遊離酸素が、植物の光合成によって生成されることはよく知られている。数十億年の昔、光合成細菌が急速に発達する前、地表は還元状態で、海洋水はほとんど溶解した還元鉄化合物だった。遊離酸素は放出されるとすぐに、還元鉄と反応し、海底に酸化鉄の堆積物すなわち錆をつくっていった」

 カントル上級研究員によると、このような膨大な量の堆積物は、約24億年前のいわゆる「大酸化イベント(GOD)」後にできたという。堆積物の厚みは数百メーターで、長さも数百マイルある。堆積物はその後、地球の深部、マントル内へとゆっくり沈んでいった。その一部は後に地表へと戻ってきた。例えば、世界一大きな鉄鉱石の領域「クルスク磁気異常帯(KMA)」はそれである。残りは地球深部内に閉じ込められた。

 

実験室での検証

 研究者は今日、ダイヤモンド製のミニアンビルと高出力レーザーの小さなプレスを使い、実験室で超高圧、超高温を再現することができる。「酸化鉄Fe2O3は下部マントルの条件下で大量の遊離酸素を放出しながら(大気含有量の数倍)部分的に分解する。対応条件でそれは液体であろう」とカントル上級研究員。

 このようなマントルにしみ込んだ高度酸化液は、多くの地球化学的プロセスに影響し得るが、正確な役割の解明はこれからである。カントル上級研究員によると、深さ1500~2000キロでの地震波伝搬の小さな異常の一部も、マントル深部における液体酸素湖の局地的形成に関連しているかもしれないという。

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