ロシアの主な脅威の一つは、「軍事目的で、情報インフラに影響を与える能力を一部の外国が強めつつあること」。国の新しい情報セキュリティ政策に、このように記されている。プーチン大統領は6日、これを承認する署名を行った。
政策を作成したのは、「ロシア連邦安全保障会議」。国の法律情報の公式インターネット・ポータルで、内容が公開されている。
それによると、外国の特殊機関や指導部が、ロシアの内政を不安定化させようと、他の国に情報的影響、心理的影響を与えているという。外国のマスコミの活動、また若者を中心としたロシア人に与えるその影響にも言及している。このように影響を与えようとする目的は、文化的価値観および精神的価値をむしばみ、道徳的基盤、歴史的原則、愛国的伝統をこわすこと、と記されている。
サイバーセキュリティの重要な方向性の一つは、「情報技術の応用で生じ得る武力衝突の戦略的抑止と防止」と考えられている。
「新しい政策では、ロシアの軍事技術の安全性に対する脅威がはるかにしっかり精査されている。例えば、外国の特殊機関による目的のはっきりとしたサイバー作戦を防ぐことや、ロシア国内での外国の諜報機関の活動を防ぐことが強調されている」と、ロシア政治研究センターのサイバーセキュリティ専門家であるオレグ・デミドフ氏は、ロシアNOWに話した。
2010年代前半に中東で拡大した動きのような「ツイッター」革命の阻止に、特別な注意が払われていたという。「『アラブの春』でわかったのは、フェイスブック、ツイッター、他のメッセンジャーが、社会や政治の安定を脅かすコンテンツの多くをすり抜けさせるということ。現在、このような流れをブロックする有効なモデルがない」とデミドフ氏。
新しい政策には、重要な情報インフラの中心的なオペレータである民間企業の役割が記されていない、とデミドフ氏は話す。「カスペルスキー・ラボ、インフォウォッチ、グループIBといった多くの企業が、ロシアの国家機関をサイバー攻撃から守っているところが大きい。企業はこの政策で優先的地位に置かれるべき」
デミドフ氏によれば、SCO(上海協力機構)、CSTO(集団安全保障条約機構)の加盟国、その他のロシアの同盟国との国際協力のレベルを高めたり、脅威に対応する国家機関や専門機関の国内での協力を確保したりすることにも重きを置くべきだという。
「共同セキュリティ演習をもっと行い、複数の国家機関を同時に狙う国際的で大規模なサイバー攻撃が行われるシナリオを用意しておく必要がある」
この政策は規範的・法的文書ではなく、直接の影響をおよぼさない。後続の文書や法案を作成する際の枠組みと基礎になるだけだ。
アメリカとイスラエルの特殊機関が「スタックスネット」作戦の際にイランの原子力施設を「攻撃」した2010年以降、ロシアはサイバーセキュリティに対する考え方を大きく変えたと、「国防」誌の編集長を務めるイーゴリ・コロトチェンコ氏は話す。「外国からの影響で、イランのウラン濃縮用の遠心分離機に緊急事態が発生し、大規模な稼働不能が起こった」とコロトチェンコ氏。これにより、イランの核開発は8年前の状態に戻ったという。
「ロシア連邦保安庁(FSB)」は数日前、外国の特殊機関がロシアの銀行分野への攻撃の準備をしていることを明らかにした。
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