プーチン氏に新たな取り巻き?

ウラジーミル・プーチン大統領(中央)、セルゲイ・イワノフ大統領特別代表(左側)、アントン・ワイノ大統領府長官=

ウラジーミル・プーチン大統領(中央)、セルゲイ・イワノフ大統領特別代表(左側)、アントン・ワイノ大統領府長官=

ロイター通信
 ウラジーミル・プーチン大統領は、新たな「イデオロギーと人員の確保」案を模索し、試験している。周辺人物の影響力は少し弱まっている。これは既存の管理体制の再編あるいは解体までをも示しているのではないかと、専門家は考える。

 ロシアのシンクタンク「ミンチェンコ・コンサルティング」は、報告書「政治局2.0」の最新版を公表した。報告書は、プーチン大統領が2012年以前に、ソ連の政治局と多くの点で類似した非公式の独立管理組織「政治局2.0」をつくったことに関するもの。現代版政治局の主なメンバーは、国の上層部の政治家や経営者。それぞれに担当分野がある。プーチン大統領自らが、すべての紛争を解決する、組織内の影響力を都度再配分する仲裁人として、この組織を指揮している。

 「『政治局2.0』とは、主要なエリート族の利益を調整する非公式の網目構造だと理解している。その仲裁人かつ最も影響力のある人物がプーチン氏」と、報告書作成者の一人キリル・ペトロフ氏は話し、この「非公式政府組織」が各機関や分野の対立を解決する主なメカニズムになっていると指摘する。

 報告書には、政治局2.0のメンバーの地位が変わっていること、プーチン大統領によって既存の管理体制が解体されるかもしくは再編成される可能性があることが記されている。

 

「自分の取り巻きの囚われ人」

 ロシアのノメンクラトゥーラ(特権階級)の上層部と中層部の勢力の再配分を、報告書は指摘している。例えば、プーチン大統領の「旧国家警備隊」の主要な関係者の脱退(セルゲイ・イワノフ元大統領府長官、「ロシア鉄道」のウラジーミル・ヤクニン前社長など)、「反汚職問題提起の活発化およびエリート内の闘争でのその展開(反汚職下部組織に対する展開を含む)」、法執行機関での交代と改革、下院(国家会議)の人員再編。

 このような変更の理由の一つは、「プーチン大統領が自身の取り巻きの囚われ人になりたくないという気持ち」だという。プーチン大統領は、報告書によれば、独自にかつ競争にもとづいて、自身の次の大統領選に向けた組織および将来の政府構造をつくろうとしている。これには政治局2.0自体の弱体化が必要なのである。

 治安当局の再編成もあった。政治局2.0のメンバーのほとんどはこの点で弱体化されたが、近年立場を強化したセルゲイ・ショイグ国防相は、新たな組織「国家警備隊(ロスグヴァルディヤ)」のヴィクトル・ゾロトフ総司令官と同等になった。プーチン大統領は従来通り、「抑制と均衡」の論理で動いているという。

 

次の大統領任期の面々

 プーチン大統領は現在、次の大統領任期のさまざまな「イデオロギーと人員の確保」案を模索している。

 若き技術系エリート(アントン・ワイノ大統領府長官、デニス・マントゥロフ産業貿易相)、エリート家族の出で技術系エリートである「王子」(アンドレイ・ヴォロビヨフ・モスクワ州知事)、近しい人(大統領警護を長きに渡り努めてきたアレクセイ・ジュミン・トゥーラ州知事)、社会活動家、党活動家などを、プーチン大統領は試している。

 「最近の人員の決定から判断すると、プーチン氏の最初の大統領任期が手本(あくまでも参考)になっている。当時は自由主義的経済改革が成功し、欧米との関係が正常だった」と報告書に記されている。

 

欧米との効果的なコミュニケーション

 欧米と対話しようとする試みがうまくいかない状況において、「ヨーロッパおよびアメリカとの対外交流を効果的に行う」ことのできる人員を確保することが、打開策になりそうだと、報告書では予測の一つとして示されている。

 「戦略研究センター」のアレクセイ・クドリン・センター長や、アレクサンドル・ヴォロシン元大統領府長官は、そのような人物だと、報告書。

 政治学者のアレクセイ・マカルキン氏は、抑制と均衡の原則以外にも、体制構築の基本があると話す。「プーチン大統領には強いメンバーは必要ないということ。課題が解決され次第、任命された者は退散する。このようなシステムがプーチン大統領には今、最適」

 

元記事(露語)

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