下院選の信頼性を高めるために

ロシア中央選挙委員会=

ロシア中央選挙委員会=

ユーリイ・マルチャノフ撮影/コメルサント紙
 前回の選挙のような、選挙結果に対する不信の問題は、あってはならない。クレムリンはこれを明示している。とはいえ、政府はかなり前から公正さを求めていたことが明らかになった。

 9月に行われる下院(国家会議)議員総選挙の選挙戦がスタートした。声明からは、少なくとも、汚い選挙にはならなそうである。「この選挙が違反なしに行われることが、どれだけ重要か、十分理解いただけているであろう」と、ウラジーミル・プーチン大統領は話した。「以前のようなことは、これ以上起こらない」と中央選挙委員会の新たな委員長に選任されたエラ・パムフィロワ氏は話し、もしも違う結果になった場合、辞任することを約束した。

 このような懸念は当然と言える。不況でただでさえ意気消沈している有権者を、さらに追い込む意味などないのだから。2011年のような選挙と不正に対する抗議の運動は、今日の政府には必要ないはずだ。本当に公正さを望んでいるのか、建前で言っているのかは別として、政府は不正防止のために、多くのことをしてきた。

 

中央選挙委員会の新委員長

 より象徴的なクレムリンの対応は、おそらく、中央選挙委員会の委員長の交代であろう。評価のわかれるウラジーミル・チュロフ前委員長のもとでは、選挙結果の公正さを信頼し難いだろうことは、明らかだった。

 新たに委員長に就任したのは、ロシア連邦人権問題全権代表のパムフィロワ氏。今年3月末の就任であるが、モスクワ郊外のバルヴィハ村の地方選で違反があったとして、早くも中止にしている。バルヴィハ村はもう出さないと、パムフィロワ氏は話した。

 とはいえ、政治学者は、パムフィロワ氏が政府にとって頭痛の種になるかもしれないと話す。「チュロフ元委員長よりも自立した委員長になりたがっており、現在、中央選挙委員会を自分の下で再構築している」と、ロシア連邦政府付属金融大学政治研究センターのパーヴェル・サリン・センター長は話す。

 

さげられたしきい値

 下院の政党の最低限の得票率が7%から5%までさげられたことも、さらなる一歩である。政府は政治の雰囲気を和らげようと、これを決めた。とはいえ、この法案が審議されたのは2011年である。当時は状況が違っており、デモで通りに出た人たちを戻す必要があった。

 今年の選挙では、新党を下院に登場させるのに役立つはずだ。ロシアでは現在、選挙に関心を持っている人の数が、今年初めと比べても、大きく減少している。投票に意欲的な人では、2人に1人が与党「統一ロシア」を支持している。

 つまり、新党の登場の可能性はそれほど高くないということになる。良くても一人で当選ということになるだろう。そしてこの一人は、政府にとってむしろ有益になると、独立系「政治専門家グループ」のコンスタンチン・カラチョフ理事は考える。「民主主義政党『ヤブロコ』になるか、他の誰かになるか。最も重要なのは、新しいプレイヤーが下院に入ること。これは結果の正当性に寄与するだろう」とカラチョフ理事。

 

小選挙区選も

 変革は選挙制度自体でもあった。比例代表制から小選挙区比例代表併用制に移行したのである。議員の半数は政党のリストで、残りの半数は小選挙区で選ばれる。このようにして、選挙戦は政党ブランドが過度に前に出ることなく、個人の間で行われる。

 小選挙区の候補は、比例代表の候補よりも国から独立しているため、侮れないのだ。これが競争であり、競争のある場所では、公正な過程への監視が強まると、カラチョフ理事。

 

ディベートと予備選挙

 選挙の今年、下院は候補者全員の選挙前討論を義務にする、新しいルールを導入した。話すか、去るかだ。ただ、ロシアではこの活動に対する関心が低い。国営テレビでの政治討論の視聴率は、バラエティー番組やドラマの視聴率の2分の1ほどである。「これはまだロシアの文化じゃない」とサリン・センター長。

 この新しい選挙義務は、政府の政策公開の試みである。今年初めて試行された全ロシア予備選挙も、その一つである。実施したのは「統一ロシア」党のみであったが。他の政党は決断できず、与党に競争上の優位性を与えてしまった。予備選挙の過程自体に一定の期待がある。それは政党を作成する際の非公開の問題をなくすのだと、サリン・センター長。

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