メドベージェフ首相インタビュー

エカテリーナ・シトゥキナ/ロシア通信
 ロシアのメドベージェフ首相は12月9日、毎年恒例となった、ロシアの5大テレビ局のインタビューに応じた。その主な内容を抜粋してお届けする。

経済問題

 状況は確かに容易ではない。もっとも、思い出していただきたいのだが、近年ずっと楽ではなかったのだ。私自身の評価についていえば、危機対策計画が功を奏し、成果をもたらしたと言っていいだろう。そのおかげで、我々は今年の最も困難な時期を持ちこたえることができた。経済の下降は止まった。我々が金融機関を支えた結果、銀行は正常に機能している。農工業も支えてきた。

我々は、来年度は成長に転じることを前提に考えている。経済成長の度合いは、楽観的評価では、1%弱といったところ。

 言うまでもなく、現時点では、現実的なシナリオに基づいている(*経済成長について――編集部注)。だが我々が、「プランВ」さらには「プランС」さえ、作成していなかったとしたら、我々は、悪い行政官だということになったろう。まあ、こういうプランが必要になればの話だが。

 ロシア経済は、その独立性を証明して見せた。ロシア国家は、外国からの融資が受けられない条件のもとでさえも、サバイバルし、発展することができる。

 

官僚機構

 官僚の収入の公開制度については、まだまだやるべきことがたくさんある。汚職をめぐる状況は今のところ、本質的には改善していない。これは主な罪悪の一つだ。

 ロシアの役人たちは、海外の役人よりも高価な車に乗るのに慣れている。車は、中程度のまともなものであれば十分だ。

 政府は常に、国家の官僚機構の縮小に取り組むべきだ。政府関連の省庁に関しては、来年度は10%縮小する決定がなされている。

 また公務員の休暇の削減も決定されている。それでなくても彼らは、他の国民よりも余計に休んでいるのだから。 

 

国防問題

 確かに我々は、ある一定の時期は、国防のための支出を増やした。確かにその通りなのだが、ただそれが行われたのはもう5年前のことだ。我々には誤算などなかったし、そうしたのは完全に正しかった、と私は思う。というのは、残念ながら、その時点までに、ロシアの軍事技術の状態は、いやそれどころか、実際のところ、軍備の状態そのものが、要求水準より著しく低くなっていたからだ。

 今では我々は、軍事支出を世界的な水準まで引き上げたので、軍備と軍事技術を、2020年までに、割合にして70%ほど更新する課題が立てられる。この課題は遂行されるだろう。そこにいかなる疑問もない。

 

クリミアの停電問題

 クリミアがウクライナに所属していた当時、住民はできるだけ早くどこかへ立ち去りたいと思っていた。この地域への予算、投資が不十分だったから。

 クリミアで起きた停電は、ジェノサイドとしか言い様がない。これは実に、厚顔無恥な、俗にいう「狂った」やり方だ。何と言ったらいいか?卑劣としか言い様がない。

 セヴァストポリとシンフェロポリに2つの発電所を新たに建設する計画があるので、クリミアは、電力に余裕をもてるだろう。

  

ウクライナのロシアに対する30億ドルの債務

 どうも返さないのではないかという感じがする。詐欺師たちだから…。

 ロシアはウクライナの債務問題を法廷に訴えるつもりだ。この借金を含め、あらゆるウクライナの債務のデフォルトを勝ち取る。

 西側諸国は、この債務の返還でウクライナを援助することを拒否したが、これは、ウクライナに支払い能力があることを信用していない証だ。 

 

将来について

 すべて良くなる。良いお年をお迎えください。我々が困難を克服していけることにどんな疑問もない。

 

識者のコメント :コンスタンチン・カラチョーフ、政治コンサルタント、「政治エクスパート・グループ」代表

 このインタビューが示したのは、プーチン・メドベージェフのタンデム(二人乗り自転車)がまだ健在だということだ。今日のインタビューで首相が触れたテーマは、プーチン大統領が12月3日に上院で行った年次教書演説で触れなかったものだった。つまり、今日のインタビューは、大統領の教書の続きだったということ。

 その際、首相はあらゆる方法で、世論およびマスコミがとり上げる問題は政権にとっても関心があり、そのことを承知していると、見せようとしている。

 首相の語り口は活発で、とくにロシアの経済発展については元気に語ったが、これはなかなか興味深い。これは、単なる楽観的な気分の注入ではなく、首相が担っている義務でもある。選挙を来年に控え、彼にとって極めて重要なのは、現実が、彼が首相および党の指導者として呈示する展望とあまりかけ離れないこと。

 大統領年次教書が国内外に向けられていたとすると、首相の今日のインタビューは何よりも国内向けだった。だから、社会の要求に答えなければならない。要求のなかには、明らかに、役人たちが慎ましくなり、その責任を果たし、そして行政のかつての金の使い方が今や過去のものとなるべき、というものもあった。だから、官僚機構の縮小は、経済的にも目的に適うし、政治的にもそうなのだ。

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