第7回年次投資フォーラム「ロシアが呼ぶ」がモスクワで13~14日、行われ、コスチン総裁はロシアには経済危機の前提条件はないとした上で、「ロシアで危機が見えるのは『若すぎる人か、記憶力の乏しい人』」だと述べた。「今日いかなる状況においても危機を感じていない」とコスチン総裁。
ロシアの大富豪の一人で、産業グループ「バゾヴイ・エレメント」の実質所有者であるオレグ・デリパスカ氏は、この意見に同意していない。「ロシアには危機がある」と明言し、特に「ロシアの企業は資本市場を利用できなくなった」と述べた。フォーラムの参加者は総じて、ロシアの危機の見通しに真っ向から反対する立場を表明した。
ロシア連邦中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁によると、中銀が適度に厳しい金融政策を実施する中、2016年末にかけて経済成長に好転可能だという。成長は2017年に向けてより確固たるものになると考えている。「中銀の政策は厳しく、インフレ低下にともなって、むしろ経済成長が安定し、健全になるのに寄与する」とナビウリナ総裁は述べた。中銀の課題は、「予見可能な条件において民間投資家が理性的かつ緻密なソリューションを採用できるよう、条件を整備すること」だという。
コスチン総裁は、来年半ば頃、低インフレの条件のもと、中銀の政策金利が8.5%までさがる可能性がある、と考えている。ロシアの銀行はあらゆる融資でこの金利を意識しているという。中銀は先月11日、今年に入ってから初めてとなる、年率11%の据え置きを決めた。理由はインフレの上昇、ルーブル安、原油安。中銀は昨年12月中旬、インフレの主要な要因となるルーブルの下落に歯止めをかけようと、10.5%から17%へと急激に引き上げていた。「次年度が予測通りになるならば、来年半ばまでに金利は8.5%の水準になる可能性もある」とコスチン総裁。
デリパスカ氏によると、ロシアが2007年の事業環境に戻らない限り、経済成長は無理だという。アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相によると、現在の困難な状況において成長するには「苦い丸薬」を飲まなければいけないという。「すべての処方箋が明らか。我々の誰もがすべて知っている。苦い薬を飲みたがらない患者のように、問題を脇に置いている」。
アントン・シルアノフ財務相によると、新たな条件のもとでは、国家予算の編成から変えていく必要があるという。「まずは経済における国家の歳出の割合を低減させることを通じて実施しなければならない」。予算赤字の低減および予算歳出の制限を主な方向性とすべきだという。「(歳出低減を通じて)金利引き下げ、インフレ低減について話すことができるようになる。そしてこれが最終的には成長を確保するためのマクロ経済的条件である」とシルアノフ財務相。ただし、持続的な成長のためには、民間投資の刺激が必要だという。
「危機とは市民が感じる経済状況の主観的な評価であって、具体的な数値の総合ではない。しかしながら、3~4四半期連続で工業生産が落ち込み、インフレ率が12%以上だと、景気後退が存在していることを証明する」と、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏はロシアNOWに話す。
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