メドベージェフ首相が「綱領」を発表

ロイター通信
 ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は、「新たな現実:ロシアとグローバルな挑戦」という論文を発表した。首相は、その中で、今日世界経済において生じておりロシア国内の状況に直接影響を及ぼしている大きな変化を分析しようとしたという。その要旨を紹介しよう。

 問題は、今日生じている或いは古くからの困難、危機的な現象、不足および不均衡の克服ばかりではない。この仕事の重要性や今日の容易でない状況にもかかわらず、われわれが最終的に解決したいと考えている課題や戦略的な目標をわれわれ自身のために簡潔に表現することは、重要である。たとえ、目標が近いものではなく解決が非常に難しいものに思われようとも。この目標は、福祉の水準がより高い国のグループの仲間入りをする(「突破する」と言いたいが、軍事用語は相応しくなかろう)、というふうに、かなり簡単に表現される。

 

ニュー・ノーマル

 グローバルな発展の今日的および将来的な問題の協議の際に、ニュー・ノーマルという用語が、ますます頻繁に使われるようになった。それは、グローバルな危機の深刻な段階が終わった5年前に現れ、たちまち人気を博した。

 ニュー・ノーマルは、「新たなノーマリティ」、もしくは、「新たな現実」とも訳せよう。それは、当面の、実際には、次の大きな構造的な危機までの、グローバル経済の発展を規定する、キーワードである。

 世界の主要国が新たな成長軌道へと進んでいることは、ますます明らかとなりつつある。  

 問題は、新たなテンポであるばかりでなく、その成長の質、すなわち、新たな生産部門の出現やそれらの新たな分布でもある。刷新は、技術、経済、人道といった、生命活動のあらゆる分野に及んでいる。

 

西と東との関係

 この関係(西側との)に、現在多くの点で危機的な兆候が現れているにもかかわらず、協力の再開は、いずれにしても避けられない。ロシアは、経済的にも政治的にも精神的にも、欧州大陸を後にするつもりはない。<…>関係は、将来も変わりうるが、協力、強調、そして、事態が好ましく進展する場合には単一の経済圏の形成も、といつた戦略的な方向は、不可避的なままである。

 ロシアの地理的および地政学的な位置は、「東方」での協力のますますさかんな発展を可能としているばかりでなく、ある意味でそれをロシアに求めてもいる。しかも、問題となっているのは、中国、ヴェトナム、日本、韓国といった国、全体として、アジア太平洋地域諸国、および、世界のさまざまな地域に位置するBRICSやSCO(上海協力機構)の加盟国である。

 

印刷機は成長源ではない

 <…>現在、枢要な課題となっているのは、経済成長の単なるテンポではなく新たな質の保障である。

 快適な条件の創出は、マクロ経済的安定の保障から始まる。低いインフレ率とバランスのとれた予算は、依然として国の安定的発展のための優先事項である。

 経済成長と近代化への資金供与の現代的メカニズムを形成することが、必要である。国家の投資がこの面でそれなりの役割を演じることは、疑いない。とくに、それらが民間投資家たちのあまり活発でない動きをある程度穴埋めできる今。

 しかし、国家の投資は、いつまでも主要な成長源であることはできない。国家も、印刷機をそうした成長源に変えることはできず、無節操な紙幣発行の自由は、極めて危険な自由の一つである。西側の紙幣発行促進の経験を引き合いに出しても、意味はない。

 民間投資家たちの誘致が、あらゆるレベルの国家統治機関の活動において前面に出るべきである。

 

国内の貯蓄

 最も重要な投資源となるべきなのは、国内の貯蓄である。これは長年にわたる戦略的課題であるが、この目標へ向かう必要がある。そうした文脈において、われわれは、年金貯蓄の効率的活用に関する問題も検討する。年金の、さらに、後には保険の、システムは、経済における「長期的資金」形成の主な源である。

 地政学的な困難や制裁やさまざまな制限にもかかわらず、外国投資誘致の問題も忘れてはならない。それらを軽視することは、われわれに押しつけられる孤立の論理をわれわれが受け入れることを意味しよう。

 中小企業活動の発展は、経済の安定成長の条件であると同時に社会的安定の保障の要因でもある。

 

競争と非原料部門

 競争の促進。競争が活発でない主な原因の一つは、企業や地域における社会的安定に対する懸念である。それゆえ、現代の労働市場の発展は、社会的問題でもあり経済的問題でもある。その解決に対する形式的なアプローチは、生産性の高い働き口の速やかな創出を妨げよう。

 非原料の輸出の伸びを促すこと(絶対的な数字および輸出全体に占める割合において)。これは、輸入品の国産品による代用が実際に始動し好結果をもたらしはじめたことを示す指標となろう。

 国家統治の効率の面での質的な前進。今後は、採択される決定に対するさまざまなレベルおよび権力機関の責任のシステムを構築することになる。

 

*論文の全文は、雑誌「経済の諸問題」(№10、2015年)に掲載されている。