プーチン・ファッションの特徴

ロイター通信

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 外交儀礼と大統領のドレスコードは自己表現の自由を与えない。だが、黒を好むことから、欧米のマスメディアに「マン・イン・ブラック」とあだ名をつけられたウラジーミル・プーチン大統領は、色彩を増やすリスクを冒した。

 大統領には難しい課題がある。国を動かしながら、苦労をみじんも感じさせない、すっきりとした姿を見せなければならない。誰もがジェームズ・ボンドのようになりたいと思っていても、それができる人は少ない。プーチン大統領は政権での長い経験を通じて、常に完璧な格好でいるなどの、伝説的なエージェント007の規則の細かいところまでマスターしたようだ。

非公式の場での大統領のいわゆるカジュアル・スタイルは、Vネックのプルオーバー(以前は黒のタートルネックだった)とジャケットに限られている。=ロシア通信

007風の黒ずくめがお好み? 

 プーチン大統領がカスタムメイドのスーツを着ていることは秘密ではない。お気に入りのブランドはイタリアのキートンとブリオーニ(世界の首脳とエージェントの好みはよく合致する)。このようなスーツは最初から最後まで、一人の裁縫師が長い時間をかけてつくるため、価格は5000ユーロ(約68万円)以上である。最近、プーチン大統領のスーツの色彩はかなり限られている。ほとんどがブラック、ダークブルー、グレーで(夏はライトグレーもあるが)、好きな色の組み合わせを当てることは簡単だ。ほとんどアレンジを変えることはない。ブルーとグレーのスーツの時にはペールブルーのシャツとブルーのネクタイ(夏にライトグレーのスーツを着る時はシャツがブルーになることもある)、ブラックのスーツの時はホワイトのシャツとブラックまたはバーガンディのネクタイと。

 どうやら、年齢と立場から、プーチン大統領の主にヴァレンティノのネクタイは、鮮やかな色合いを失っているようだ。許容できてピー・グリーン、水玉、細かいチェック程度。靴は通常、イギリスのジョン・ロブまたはイタリアのサルヴァトーレ・フェラガモである。

 どれほど有名ブランドを愛していても、大統領が自分の着用している服のイメージキャラになってはいけない。そのため、10年以上プーチン大統領を担当しているスタイリストは、誤って記者の目にとまることのないよう、服からすべてのタグを外している。この手順は通常、大統領だけでなく、すべての高官の服に対しても守られている。

アレクセイ・ニコリスキイ撮影/ロシア通信

 非公式の場での大統領のいわゆるカジュアル・スタイルは、Vネックのプルオーバー(以前は黒のタートルネックだった)とジャケットに限られている。ジャケットは、五輪のロシア代表の制服を除き、主にカナダグース(と、もちろん、ブリオーニ)である。

 

“人柱”になった時計 

 マスメディアが特に注目したのは時計のコレクション。ある時、その正確な数を数えることができたが、11コレクションあった。ほぼ探偵物語とも言えるこの探りの後で、コレクションの最新データをつかむことは困難になった。

 とりあえず、把握できているコレクションの中でもっとも高額なモデルは、ランゲ&ゾーネ・ターボグラフ・プール・ル・メリットである。このトゥールビヨンのある時計は50万ドル(約6000万円)ほど。他にプーチン大統領の手首についていたのは、パテック・フィリップ・パーペチュアル・カレンダーとパテック・フィリップ・カラトラバ、ブレゲ・マリーン、IWCパイロット・ウォッチ・マークXV。スイスの老舗メーカーのブランパンはお気に入りで、5本あった。

アレクセイ・ドルジーニン撮影/ロシア通信

 レマン・アクア・ラング・グランド・デイト2本のうちの1本を、プーチン大統領は2009年にトゥヴァ共和国を訪問した際、牧人の息子にプレゼントしている。もう1本は、トゥーラの工場の金属加工職人にプレゼントした。プーチン大統領が工場を訪問した際、職人は自分の息子2人が祖国の防衛者であるとして、何か記念品を息子にもらえないかと聞いた。するとすぐに手首からこの時計を外し、職人に手渡した。

 2010年、ニジネ・ブレイスカヤ水力発電所の起工式で、エネルギー関係者の伝統にしたがい、固まっていないコンクリートの基礎にブランパンのモデルを投下した。ここ数年もお気に入りのブランパンのモデルを着用しているが、あまり見ることはできない。シャツの袖口の下に時計をしっかりと隠したり、時計を一切着用しなかったりしているためだ。