クレムリンのタイニツキー庭園に2012年10月、プーチン大統領向けのヘリポートが設置された。プーチン大統領は国産ヘリコプター「Mi-8」でしか移動しない。
ヘリコプターは以前も、ロシア初の大統領ボリス・エリツィンなどを乗せて、クレムリンに着陸していたが、ヘリポートはイワノフ広場にあったため、ヘリコプターの振動でクレムリンの歴史的建物に損傷を与える可能性があった。そのため、離れた場所に移された。
陸上では、プーチン大統領は「メルセデス・ベンツS600プルマン」で移動する。ロシア連邦警護庁(FSO)の登録リストには、このような自動車が11台ある。
すべての自動車がFSO下部組織の特別車舎(GON)の管理下にある。GONが創設されたのは1921年。ソ連の人民委員会議がウラジーミル・レーニンの家族向けに複数の自動車を割り当てるよう命じた時。
プーチン大統領の自動車=セルゲイ・グネエフ撮影/ロシア通信
現在、大統領の自動車には、装甲カプセル、非常走行システム(たとえ4本のタイヤすべてが銃撃されても、時速80キロ以上で30キロ以上走行する能力を維持する)、空気質制御システム、その他日常的な便利道具などが備わっている。
ある時、ロシアのテレビ局「NTV(独立テレビ)」の司会者ヴァジム・タクメニョフは、プーチン大統領と自動車に乗り、大統領の車列が渋滞を引き起こしていることを知っているかとたずねた。「申し訳ない。遺憾に思う。だが仕事はしなければならない。他にどうやって移動すればいいのか」とプーチン大統領は答えた。タクメニョフは、フランスのフランソワ・オランド大統領の車列が大統領の就任式に向かう途中、信号で停止した例にならってはどうかと提案した。「オランド大統領は良い人。だが私は人民主義は行わない」とプーチン大統領は答えた。
大統領の運転手は10人以上いる。ハイレベルのプロだが、それでも週1回は訓練している。必須メニューには、運転中の銃撃、また氷上、湿地、爆発のシミュレータでの運転がある。
大統領の主な航空機は1996年から、民間機IL-96の大改造版になっている。大統領は飛行中、あらゆる省庁や機関と連絡でき、また国際的な会談や電話会議も行うことができる。=ヴラジーミル・ロディオノフ撮影/タス通信
大統領総務局には特別飛行隊「ロシア」という組織があり、大統領、首相、外務大臣、下院議長、その他の高官、ロシア正教会の最高指導者「全ルーシの総主教」を運んでいる。また、クレムリンおよび首相の記者団、代表団の団員、報道局および儀典局の職員も運ぶ。
主な保有航空機はIL-96-300とのTu-214。近々、スホイ・スーパージェット100もここに加わる。また、飛行司令中枢(空飛ぶ司令センター)という、特別な通信システムが装備された航空機もある。このシステムによって、大統領は暗号モードで会話でき、ロシアの核戦力を統制できる。すべての離陸は政府専用のヴヌコヴォ2空港から行われる。
Tu-214=ロシア通信
大統領の主な航空機は1996年から、民間機IL-96の大改造版になっている。大統領は飛行中、あらゆる省庁や機関と連絡でき、また国際的な会談や電話会議も行うことができる。航空機は最高総司令官の空飛ぶ司令センターに変わることができる。とはいえ、これまでに、このタイプの航空機が、この特殊な役割を果たしたことはない。
大統領総務局の保有リストには、クルーザー2隻、発動機船3隻、ボート7艇、双胴帆船1艇がある。
アレクセイ・ニコルスキイ撮影/ロシア通信
大統領の利用する特別な船は、他の組織の登録になっている。例えば、黒海の海底に沈むヴィザンチンの船をプーチン大統領が見学した時に乗っていた潜水艇は、ロシア地図協会の所有である。
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