ソマリアの二の舞を演じかねないシリア

国連およびアラブ連盟・特別代表のラクダル・ブラヒミ氏=写真提供:unmultimedia.org

国連およびアラブ連盟・特別代表のラクダル・ブラヒミ氏=写真提供:unmultimedia.org

シリア問題の解決を図る和平会議「ジュネーブ-2」の開催が危ぶまれている。火曜日、国連およびアラブ連盟・特別代表のラクダル・ブラヒミ氏は、国連、ロシア、米国の代表は、会議の年内開催を目指しているものの、日程に関する合意には至らなかった、と述べた。

 ジュネーブで行われた準備会合の参加者らは、その原因についてのコメントを控えているが、来る会議へのイランの参加をめぐって意見が対立したものとみられる。ロシアは賛成し、アメリカは反対し、サウジアラビアも、紛争当事者への支援を通してイランと同じ程度シリア紛争に係わっているにもかかわらず、反対している。どうやら、米国には、イランをシリア和平会議へ参加させることによってイランの国際的な正当性および威信を自らの手で高めるつもりはないらしい。

 

ジュネーブ-2を望まない勢力 

 表向きには、シリア紛争の政治的解決へ向けたステップである2012年の「ジュネーブ・コミュニケ」にイランが加わっていないことが問題とされているが、重要なのは、そのことではなく、シリアの反体制派が、より正確には、アサド体制に公然と敵対する勢力が、サウジアラビアの支援を受け、西側に認められており、会議を望んでいない、ということなのだ。

 それらの勢力は、「ジュネーブ-2」への参加の条件として、正常化のプロセスからアサド大統領を排除する保証を求めている。しかし、シリアに関するロシアの主な交渉担当者の一人であるミハイル・ボグダノフ外務次官は、こう述べる。

 「みんながみんな真に政治的解決を望んでいるわけではなさそうです。もちろん、反体制派にもそうした勢力がいるでしょうし、もっぱら武力と戦争の継続を望んでいる武装戦闘員や過激なテログループについては言うまでもありません。しかし、残念ながら、精神的かつ政治的にばかりでなく物質的にそうした気運を煽っている在外勢力も存在するのです」

 

反政府勢力をまとめるのに手こずる米国 

 シリア和平会議開催に関するロシアとアメリカの提案実現における役割分担により、ロシアはシリア政府の代表団の参加を、アメリカは反体制派の合同代表団の参加を、それぞれ保障することになっていた。アサド大統領は参加に同意したが、米国は明らかに手こずった。たしかに、しばしば反目し合い戦火を交えてもいる大小さまざまな多数の野党勢力を一つに束ねることは至難の業だが、それなくしてシリアの和平は達成できない。

 やはりシリアを担当するロシアのゲンナジー・ガチロフ外務次官は、こう述べる。「米国には、反体制派を連帯させられるほどの影響力がありません。単なる反体制派の代表ではなく幅広い野党勢力の参加が必要なのですが、アメリカは、今のところそれに成功していません」

 アメリカは、反体制派統一組織のシリア国民連合が、近日中に「ジュネーブ-2」への参加を受け入れるものと期待している。アメリカのある高位の外交官は、この語る。「シリアの反体制派は、紛争を早期に解決させるためには政治的交渉以外に途はないことを認識しており、4~5ヶ月前よりもはるかに真剣な姿勢が、一連の野党勢力にうかがえます」。もしかすると、アメリカは、行き詰まりを打開できるかもしれないが、成功の保証はどこにもない。

 

ロシアの模索 

 あたかもシリア紛争解決の面でのアメリカの失敗を見越しているかのように、ロシアは、戦闘の継続よりも話し合いを希望する野党勢力を交渉のテーブルに着かせるというもう一つの途を模索している。

 ロシアの外交官らは、ジュネーブで、国民調整委員会の在外局長、シリアのクルド人、バッシャール・アサド大統領の叔父リファート・アサド氏、世俗民主連合の代表らと、一連の会談を行った。

 おそらく、それらの話し合いを踏まえて、ボグダノフ外務次官は、ロシアには在外勢力を交えたシリアの政府と反体制派による交渉の場を提供する用意があるとし、次のように述べたものと思われる。

 「私たちは、ラクダル・ブラヒミ特別代表ならびにアメリカの参加を伴う、シリア政府と反体制派の代表による非公式協議をモスクワで開催することを提案していますが、それを具体的かつ詳細に説明するために、本日の会議を利用しました」

 

今後二週間が正念場 

 これからの二週間が正念場といえる。11月25日、ジュネーブで、ふたたび、米国、ロシア、国連の三者による準備会合が開かれる。

 一方、シリア国内の人道面の状況は、日に日に悪化しており、「ジュネーブ-2」開催の最終期限として設定された年末が、一つの大きな分岐点となろう。仮に期限が過ぎてしまえば、平和維持部隊の無力が、制御不能な国家の崩壊、いわば、シリアの「ソマリア化」を招きかねない。

 ブラヒミ特別代表は、こう述べている。「状況はきわめて深刻で、一日に平均6千人がシリアを後にしています。シリア国民のほぼ三分の一が、紛争による被害をこうむり、国内の強制移住者もしくは難民となりました。現在、国連は、900万人以上が直接紛争に巻き込まれた、としていますが、これは、シリア国民のほぼ半数にあたります。しかし、これはあくまでも現時点のことであり、行く手には『ソマリア化』が待っています。しかも、ソマリアよりも深刻で長期にわたる最悪のシナリオが…」