背を丸めた大きくてふわふわのマヌルネコはもう今にも鳴き声をあげそうだ。それはもしかすると隣に置かれた楽しげなマーモットの家族や飛び立とうと翼を広げたままのイヌワシのせいかもしれない。これらすべての驚くべき動物は、動物園や森から飛び出してきたものではない。
信じられないほどリアルなこの彫刻は、クラスノヤルスク州コジャヌィ村の図工の教師、セルゲイ・ボブコフさんが作ったものだ。そして材料に使われているのは、ありふれた木の削りくずである。
このシベリアのアーティストは、自分の手で何か新しいものを作るのが好きで、木彫、マクラメ織り、籐編み、ろくろ陶芸など、多くの工芸品を製作してきた。そして、ある日、木の削りくずに出会ったのだという。
それは、まるでレースのように細く、また彫刻を作るのにぴったりな素材であった。作品の製作に着手する前に、ボブコフさんはまず木材を水に浸し、その後、削ってくずにする。木の種類で一番多いのは杉、ときにブナ、柳を使うこともあるという。
作業はとても緻密である。ボブコフさんは、動物の体の特徴、行動様式を分析し、デッサンをし、それから立体的な形にし、その上に、毛皮を「着せ」たり、ふわふわの羽をつけたりする。
たとえば、ワシの羽には7000本の削りくずが使われ、クロテンには3万本もの毛が植えられ、マヌルネコは100万以上の部分から成っている。しかもそのすべての素材が手作業で固定されているのだそうだ。
こうした作品を1つ製作するのには、数ヶ月かかることもあれば、数年かかることもあるという。マヌルネコを作るのには5年の歳月を費やしたのだそうだ。
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