求人情報サービス「スーパージョブ」が2021年の末に実施した世論調査によれば、ロシアで自分を幸せだと感じるには、平均的な男性では1ヶ月あたり手取り20万3,000ルーブル(およそ30万円)、女性では15万5,000ルーブル(およそ23万円)必要だと感じている。
平均的なロシア人が幸せと感じるのに必要な金額がこれより多かったのは、2017年で、18万4,000ルーブル(およそ27万円)であった。現在の男女の平均は17万8,000ルーブル(およそ25万円)である。
ロシアで、幸せだと感じるための金額がもっとも高いのはモスクワ市民で、1ヶ月22万8,000ルーブル(およそ32万円)で、大都市の上位5位のうち1位を占めた。
1. モスクワ 22万8,000ルーブル(およそ32万円)
2. ウラジオストク 20万4,000ルーブル(およそ30万円)
3. ロストフ・ナ・ドヌー 19万8,000ルーブル(およそ29万円)
4. サンクトペテルブルク 19万2,000ルーブル(およそ28万円)
5. エカテリンブルク 18万6,000ルーブル(およそ27万円)
興味深いことに、ランキング2位は、ロシア第二の都市とされるサンクトペテルブルクではなく、ウラジオストクである。ウラジオストクはヨーロッパ部から離れていることから、輸送費も高く、物価が高いためである。
幸せのために必要だと思う金額は年齢が上がるとともに上昇し、35歳から44歳がもっとも高かった。
ロシア人の平均月収(2021年は5万5,000ルーブル=およそ8万円)と希望の金額の間には大きな差があるものの、全ロシア世論調査センターが実施した調査によれば、ロシア人の84%が自分を幸せだと感じていると答えた。その理由について、多くの人々が、まず何よりもロシア人にとって大切なのは自分自身と家族が健康であることだからと答えた(29%)。続いて、家族や子どもがいて幸せだと答えたのは27%、人生に満足していると答えたのは21%、そして良い仕事に恵まれていると答えたのは20%だった。
一方、自分を幸せだと感じないと答えた人は、その理由について、国内情勢(8%)、生活費の不足(7%)、安定性のなさ(6%)、家庭内トラブル(5%)を挙げた。
雑誌「エクスペルト」によれば、調査会社「ロミル」の代表で、独立系の国際世論調査センター「ギャラップ・インターナショナル・アソシエーション」の副会長を務めるアンドレイ・ミレヒン社会学博士は、「幸せのレベルは収入のレベルと直接結びついている訳ではない」と指摘している。
ギャラップ・インターナショナルと「ロミル」も、2021年末に世界およびロシア国内における幸福度調査を実施した。調査によれば、ロシアは幸福度を感じる国の下位5位に入った。自分の生活にとても満足していると答えたロシア人はわずか5%、満足していると答えたのは36%、満足していないが17%、どちらとも言えないが30%であった。自身を幸せだと感じないと答えたのは、ロシア以外では、ガーナ、アフガニスタン、香港、イラクであった。
ミレヒン氏は、「ロシア人は昔から、(他の国でほとんどの人がそうであるように)隣人と比較するのではなく、経済的に発展している他の国と比較するからです」と説明する。
モスクワに住むロシア・ビヨンドからの取材に対し、イワンさんは言う。「アパートと自動車はもう買いました。子どもたちの教育費はまだ必要ないので、夢を挙げるとしたら、宇宙旅行者として宇宙に行くことですね。5年後に今の料金(45万ドル)でこの夢を叶えるためには、毎月60万ルーブル(およそ85万円)稼がなければなりません」。
サンクトペテルブルク出身のエレーナさんにとって、今一番の問題は子どもたちの大学の授業料だという。「上の息子は大学を卒業したのですが、娘は今年入学なんです。ペテルブルクの大学に入れるか、モスクワの大学に入ることになるのか、もうすぐはっきりします。モスクワに行くことになれば、家賃も払わなければなりませんし、生活費や帰省の費用も捻出しなければなりません。これが月に最低4万ルーブル(およそ6万円)くらいになります。これは授業料が免除された場合です」。
一方、ウラジオストク在住のニックネーム、マルーチャさんは、「最近、ウラジオストクのマンションを売って、クリミアに引っ越そうかと考えるようになりました。ウラジオストクの気候が好きではないのです。それでマンションを売って、南部で家を建てようかと思っています。予算は6万ルーブル(およそ8万5,000円)ほどです」と書いている。自然減少と移住によって、ウラジオストクの人口はここ数年で減少している。ウラジオストク市民によれば、その主な原因は、町の発展レベルが低いこと、そして給料と住居費や食料品の物価が見合っていないことだという。
2021年に発表された全ロシア世論調査センターの調査結果によれば、ロシア人が願うことの第1位は自身と家族の健康(9%)、また家族の住宅状況の改善(8%)、旅行(5%)、生活水準と経済状況の向上(4%)が続いた。
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