なぜロシアのアパートにはこれほどたくさんピンク色の窓があるのか(写真特集)

ロシア・ビヨンド, Guy Ritchie/Miramax, 2019, Unsplash
 ロシア人は最近、高層住宅のそばを通るとき、謎のピンク色に光る窓をよく見るようになったと話している。もしかしたら、売春宿ではないかと言う人もいれば、マリファナの自家栽培をしているのではないかと笑う人もいる。

 モスクワのリュボーフィ・エルモラエワさんは言う。「数年前、夜、モスクワを散歩しているとき、どのアパートにも、ピンクがかった紫に光る窓があるのに気がついたのです。それがわたしにはとても興味深くなり、なんだか楽しい気分になりました。何か機能的なものだったとしても、それを見つけて、眺めるのが好きなのです」。

 そのとき、リュボーフィさんはソーシャルネットワーク「フ・コンタクチェ」に小さなグループを作った。その名も「ピンクの窓」。ユーザーたちは、そこにロシアの様々な都市のピンクの窓を映した写真を投稿している。

 「フ・コンタクチェ」とインスタグラムには同じようなページが数十はある。ロシアのインターネットユーザーたちは、ソーシャルネットワーク上で、なぜアパートの部屋にピンク色の光が必要なのかという疑問について投稿するようになった。

 ペテルブルクに住むオリガさんは、インスタグラムの自身のアカウントにこう綴っている。「ピンク色の窓の向こうでは何が起こっているのか、とても興味深い。何かを栽培しているのだろうか。それとも写真の現像でもしているのか。それともミニマル・ミュージックに合わせて踊っているのか。なぜピンク色なのか。そしてなぜあんなに明るいのか」。 

 ツイッターのユーザーの一人はこう書いている。「向かい側の家ではどこも何かある。上階では光と音楽でディスコが開かれているし、向かい側はなんだか親密なピンク色に光っている」。

 ネットのユーザーたちはこの鮮やかなピンク色の光の意味について、様々な冗談を言い合っている。

 「アパートに不思議な窓がある。ピンク色に光っているのだ。エイリアンでもいるのか。それとも秘密の入り口でもあるのか」と、オプリチニクさんはツイッターで呟いている。

 別の人たちは、これらの窓の向こうでは、女性たちがお金と引き換えに親密なサービスを行なっていて、ピンク色の光で客を「悦ばせている」のではないかと言う人もいる。

 ツイッターのユーザー、アナルヒオプテリクスさんは、次のように書いている。「いまでも忘れられないのですが、ある日アカデミーでわたしのところに、学生のそばでよく集まっている大工がやってきて、そっと言葉を選んで尋ねるのです。『すみませんが、ちょっと質問があるのです。夜にピンク色に光る窓があるのですが、あれは売春宿ですか?』と」。

 インスタグラムの匿名のユーザーは、「タガンログの窓」というタイトルのピンクの窓のアカウントと作った。プロフィールには、「ロシア人たちはセックスをするときに、ピンクの明かりをつける」と書いている。

 アカウントの創設者はこう書いている。「わたしはただこのような窓が現れるようになった理由について、もっともよく言われていることをページにしただけです。しかし、今でも、実際にあの窓の向こうに何が隠されているのか正確に答えることはできません。わたしの考えが正しい可能性もあるのです」。

 また他には、ロシア人はマリファナを自家栽培しているのだろうと確信している人もいて、このピンクの窓の家の住人を、ガイ・リッチーの映画「ジェントルメン」と比較している。 

 「散歩に出ると、必ず、こんな窓を目にする」

 実は、本当の理由はこのどれでもない。実際には最近、アパートの部屋の中で野菜を栽培しているロシア人が増えているのがその理由である。トマト、パセリやイノンドなどのハーブを育てたり、あるいは出窓に花を植えている人もいる。ピンク色の光は、特別な室内栽培ランプである。多くは冬、植物が健康に育つのに必要な日中の陽の光が不足しているときに設置される。

 窓の中は普通、このようになっている。

 モスクワ州クラスノズナメンスク市に住むクセニヤさんは、このランプを秋と冬に蘭を育てるために設置した。部屋の中に作った小さな植物園を、彼女は冗談を交えて「蘭の売春宿」と呼んでいる。

 「2001年に、海の近くの南の街から、寒くて見知らぬこのモスクワ郊外に引っ越してきました。友人たちは皆、別の町に住んでいて、わたしはとても寂しくて、植物の栽培に熱中するようになりました。植物が大好きになり、力をもらいました。水をやり、育てるうちに、エネルギーを与えてくれるようになったのです。以来、植物はわたしにとって、子どものようなものになりました。隣人たちは、ピンクの光について何も言ってきたりしません。もしかすると影では何か言われているかもしれませんが」。

 この室内栽培ランプは、異常に冬が寒い地域や極圏の街でよく見けると、ヤマル半島にあるノヴィ・ウレンゴイに住むオリガさんは確信する。

 「わたしたちの街では、どのアパートにも3~4つ、ピンク色の窓があります。人々には太陽の光が足りないのです。野菜の栽培だけでなく、多くの人たちが何か夏を思わせるような花などを育てているのです」とオリガさんは説明してくれた。

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