ロシアの人口はなぜまばらなのか

ライフ
ニコライ・シェフチェンコ
 ロシアの国土の大半は過疎地だが、一部の地域は過密だ。

 ロシアは世界第1位の面積を誇るが、人口規模では世界第9位だ。面白いことに、ロシアの広大な土地が無人であるのに対し、1億4600万の国民の大半が人口過密な都市部に住んでいる。

気候

 ロシアの人口密度を示すこの地図を見れば、広大な国土に人口がどれほど不均等に散らばっているかがだいたい分かる。

 実質、ヨーロッパロシアに全人口の約68パーセントが住んでいるが、ヨーロッパロシアは全国土の20パーセントにすぎない。

 あと32パーセントが住む残りの地域は、過密の都市部に比べて圧倒的に人口密度が低い。その要因の一つが、ロシアの一部の遠隔地における気候の厳しさだ。

 ロシアでは伝統的に、気候が穏やかで耕作に適している地域に人が住んでいる。概して、ロシア南部の人口密度はロシア極北や極東に比べて高い。

 ロシア極北とシベリアの広大な地域は、気候が厳しく比較的アクセスしにくいことで知られるが、国内で特に人口が少ない地域でもある。極北のヤマロ・ネネツ自治管区、極北・極東のサハ共和国、極東のカムチャッカ地方、マガダン州、チュクチ自治管区の人口密度はいずれも1平方キロメートル当たり1人以下だ。比較的面積の大きなチュクチ半島は、1平方キロメートル当たり0.07人という記録的な過疎地だ。

 「ロシアの約4分の3を占めるアジアロシアに、全人口の5分の1しか住んでいない。ロシアの国土の7割近くを占める極北や、気候の厳しい地域は、特に人口が少ない」と高等経済学院(5-100プロジェクト参加校)人口学研究センターの上級研究員、エカテリーナ・シチェルバコワ氏は言う。 

経済と政治

 経済力も要因の一つである。ロシアで最も栄えている二大都市、モスクワとサンクトペテルブルクは、最も過密な街でもある。モスクワの人口密度は1平方キロメートル当たり4941人とロシアで最も高く、一方のサンクトペテルブルクの人口密度は1平方キロメートル当たり3837人だ。

 正反対なのが、同じ調査で最も栄えていない地域として挙げられたトゥヴァ共和国、カルムイク共和国、極東のユダヤ自治州は、人口密度も最も低く、それぞれ1平方キロメートル当たり1.96人、3.61人、4.31人だ。

 ロシア国内の過疎地の人口密度も、現地の工業地帯では高い場合がある。政府の勝手でそうなっていることもある。

 「20世紀、ロシアの居住地移動の主要な傾向は、時に非常に厳格な政策によって管理されていた。人口を北や東、稀に南に分散させる政策だ。天然資源を開発して地域経済を発展させ、東部国境を強化する必要があったためだ。独ソ戦の際にヨーロッパロシアから多くの工業系企業が疎開したことも重要な役割を果たした」とシチェルバコワ氏は指摘する。 

ロシアの人口が(比較的)少なく、減少傾向にある理由についてはこちらからどうぞ。 

「ロシア・ビヨンド」がLineで登場!是非ご購読ください!