ロシアの台所にあった珍しいアイテム10選(写真特集)

ソ連特集
エレオノラ・ゴールドマン
 銃を使ってダンプリングを作る方法、クワス用ポットにはどうして真ん中に穴があるのか?ソ連時代だけでなく、今でも使われている珍しい道具をここに紹介しよう。

1. キャベツの千切り器

 ご存じだと思うが、ロシア人はザワークラウトをこよなく愛し、昔から家庭で作る人が多い。一見したところ、この道具を使うのは面倒くさそうだが、実はキャベツの千切りを素早くより薄く作ることが出来る。「セチカ」(もしくは、「チャプカ」)と名付けられたスライサーは、木製持ち手がついた鋭い半円形ナイフである。この道具は最近ではあまり見かけなくなったが、今でもノスタルジックなものを愛好する人たちのためにつくられている。

 

2. ダンプリング「銃」

 ロシアの伝統料理であるペリメニをつくるのはとても時間がかかる作業である。しかし、ソ連時代には、この負担を軽減するための便利な道具がいくつか考案された。その一つがダンプリング「銃」である。使い方は、薄く広げた生地のまず半分をこの銃を使ってペリメニ型にくり抜く。そして、それぞれの型の上に挽肉を置き、残り半分の生地で覆って、また具の上から「銃」で押し付け、「撃ちだす」。奇妙な響きに感じるかもしれないが、見てみるととても簡単だ。

 

3. ダンプリングメーカー

 今では、「銃」よりもこのような道具が一般的で、より多くのペリメニが一度に作れる。作れるものの形は様々で、ダンプリングだけでなく、肉まんも作れる。この道具を使って作るダンプリングは角張った形になる。

 

4. 車載用コーヒーメーカー

 このとても珍しい道具は、コーヒー愛好家のために1970年代〜1980年代につくられた。このコーヒーメーカーはシガレットライターソケットから電源を取る。コーヒーメーカーに加えて2つの小さなコーヒーカップが通常ついてくる。説明文によれば、運転中であってもコーヒーを沸かすことが出来るのだそうだ。

5. 電気シャシリク調理器

 春になると、ロシアではシャシリク、つまりバーベキューの季節が始まる。郊外の別荘に友人、親戚を集呼んで、バーベキュー台で肉を焼く。しかし、外出できないときはどうすればいいのか。そんなときのために、ソ連では室内でもバーベキューを作ることが出来る変わった電気器具が考案された。

 

6. 電気サモワール(湯沸かし器) 

 サモワールとは、お茶をいれるときに使う道具で、ロシアで18世紀から作られてきた。今日、都会ではほとんど見かけることはなくなったが、いまも生産されている。伝統的なサモワールはいろいろなイベントで使われることが多く、家庭では電気ケトルのような電気サモワールが一般的だ。

 

7. クワスポット

 炭酸飲料をパンから作ると言ったら奇妙に感じるかも知れないが、昔からロシアで最も飲まれて来たもののひとつがクワスである。冷やして飲むと夏の暑さを和らげてくれる。以前、クワスはクワスニックと呼ばれる専用の容器から注がれた。容器の真ん中に穴があり、そこに氷を入れてクワスを冷やすようになっている。この容器は今でも作られているが、どの家庭にも冷蔵庫がある今日では、お土産物として人気がある。

8.「クルミ」クッキー焼き器

 このオレーシニツァ(『クルミ』のロシア語から来ている)と呼ばれる調理器具はソ連時代、どの家庭の台所にもあった道具で、今でもロシアの家に行くと見ることが出来る!両面フライパンのようなもので、クルミ型のクッキーを焼くときに使う。それぞれの面の型に煮詰めたコンデンスミルクを入れて両面を合わせる。まれに、マッシュルーム型のものもある。

9. マンティ(肉まん)作り器

 マンティと呼ばれる大型の肉まんは伝統的なトルコの料理で、ソ連時代に広まり、今でも大変人気がある。これを簡単に作るために、ソ連時代にマントヴァルカと呼ばれる複数段からなる専用蒸し器が考案された。一般の蒸し器に似ているが、より段数が多く、中央に大きな穴があり、蒸気の通りをよくしている。

10. 卵黄分離機

 この珍しい道具は、ソ連時代に卵黄と卵白を分けるのに使われた。卵白は皿に流れ出て、卵黄は上部に残るしくみになっている。