「自己隔離」と「ゼロにする」が、2020年のロシアの「今年の言葉」となった。前者は別に意外ではないだろうが、後者はどうだろうか?詳しく見てみよう。
プーシキン記念ロシア語大学の言語学者たちは、2020年のロシアで最もホットなトピックを調査し、今年ロシア人が最も頻繁に使った言葉のリストを発表した。
自己隔離
当然ながら、世界の他の地域と同じく、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが、ロシアで最も頻繁に話題に上るトピックの一つになった。
『コリンズ英語辞典』は、「ロックダウン」が「今年の言葉」だと発表した。ロシアでは、もう少し「ソフトな」もの、つまり「自己隔離」になった。もっとも、意味はだいたい同じだ。いずれも、家にとどまり外部との接触を最小限にすることだから。
「自己隔離」(ロシア語はсамоизоляция)は、多くのロシア人のものの見方やライフスタイルを変えることになった。新しい現実が、独自の文化的コードを形作り、それに関連するミーム、ジョーク、そして音楽さえ現れた。
たとえば、このビデオは、ロシアで人気の深夜番組のために特別に撮影されたもので、ソーシャルメディアで大いに受けている。ロシア語の「自己隔離 самоизоляция〈サモイゾリャーツィヤ〉)が何度か繰り返されるので、見終わるまでにロシア語の発音を覚えられるだろう。
ほかにパンデミック関連でロシア人がよく使ったのは、「検疫、隔離」(карантин カランチーン)、「コヴィド」(ковид)、コロナウイルス(коронавирус)、「テレワーク」(удаленка ウダリョーンカ)、その他。
「ゼロにする」
世界的現象である新型コロナ、およびその関連語に対し、二つ目の流行語は、それよりはローカルなホットトピックに関係している。
2020年1月、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア連邦憲法について、一連の改正事項を提起し、その承認を得るために国民投票を行うことを提案した。
3月初旬、つまりロックダウン前夜のことだが、女性として世界で初めて宇宙飛行を行ったワレンチナ・テレシコワ(現在は下院議員)が、独自の修正案を示した。すなわち、大統領任期を連続2期までとする規定を撤廃するか、少なくとも現職の大統領がこれまでに務めた任期をリセットする、つまり「ゼロにすること」を提案した。「ゼロにすること」は、ロシア語で「обнуление」(オブヌレーニエ)という。
この表現はすぐさま口コミで広まり、ロシア人が「ゼロ化」できるあらゆることについて、何千ものジョークやミームが飛び交った。我々が耳にした、この新語の最も滑稽な使い方の一つは、セックスパートナーに関するものだ。
―あなたは、本当に私の初めての人だったのよ。
―えっ、ほんとう?
―まあ、「ゼロ化」した後でだけど…
このテーマに関連して、ほかによく使われたのは「голосование」(投票〈ゴロソヴァーニエ〉)、「конституция」(憲法〈コンスティトゥーツィヤ〉)、「поправки」(修正〈ポプラーフキ〉)で、これらが流行った理由は分かるだろう!
国民投票そのものは、「自己隔離」のため延期されねばならなかったが、結局、夏に行われて、ロシア人の大多数が修正案に賛成票を投じた――「ゼロ化」に関するものも含めて。