ロシアを舞台にした映画やテレビ番組のほとんどは、実際、東欧諸国や、さらには撮影所のセットの中で撮られることがほとんどだ。ソ連時代には「鉄のカーテン」が存在していたため、映画撮影の許可を得るのはとても難しかった。一方、今はと言うと、すべての関係者のビザを取ったり、モスクワやサンクトペテルブルク(最も「映画的」な場所)で通りの交通を遮断するのに大変な費用がかかる。これが映画の中のロシアの町が...、本物でない理由だ。映画やテレビ番組の中のロシアと、その映画が撮られた時代(舞台となった時代)の実際のロシアの姿と比較してみた。
キリング・イヴ (2018年)
このテレビドラマのシーズン3の大部分はロシアが舞台となっている。このドラマのプロデューサーは、モスクワのシーンはルーマニアで撮影されたので、このロシアの首都がどこかの田舎町のようだ、ということを隠し立てしていない。通りには人気がなく、広場は小さく、現代のものとソ連時代の高層建築は見られない。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年)
この映画の中で、オブハ小路が登場する。・・・少なくともそう書かれた標識がみえる場面がある。あらすじは、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが旧式の公衆電話で「不可能な任務」の指示を受ける。しかし、そんな公衆電話は2011年にモスクワでは見つけることは出来ない。おそらく、ロケ地に実際にあった電話をそのまま使ったのだろう。この場面はカナダ、バンクーバーで撮影された。ちなみに、オブハ小路はこのようにモスクワに実際にある通りだ。
ヒットマン(2007年)
この映画ではサンクトペテルブルクが描かれているのだが、出てくる標識や碑文はブルガリア語なので混乱を招く。しかし驚くべきことではない。なぜなら、ブルガリアの首都、ソフィアがこの映画でサンクトペテルブルクの代わりとなっているからだ。
しかし、もっとも奇妙なのは、サンクトペテルブルクの中央駅であるべきところを、モスクワのキエフ駅を見せていることである。
ブラザーズ・ブルーム(2008年)
2人の詐欺師を描いたこの映画は、サンクトペテルブルクが舞台の一部になっている。映画のプロデューサーが本当に尽力したことは認めよう。登場する自動車のナンバープレートさえも正しい番号である(サンクトペテルブルクの番号)「78」番をつけていた。しかし、ロシアの北の首都を、南部のバルカン半島(正確にはセルビアとモンテネグロ)で撮影するのはリスクのある判断であった。このような典型的な「南部風」の建物がサンクトペテルブルクのどこにあるのかを知っていると言う方がいれば、是非とも下のコメント欄に記入してほしいものだ。
ブルー・ダイヤモンド(2018年)
ヤクートを舞台にしたこの映画は、カナダの町クックス・クリークとマルケットで撮影された。キアヌ・リーヴス演じる登場人物が冬に薄いコートに帽子を被らずにいるのはそのためだ。(ヤクートにある)実際の町、ミールヌィでは夏の間でしか出来ない格好である。
ヘルボーイ(2004年)
ラスプーチンの墓がどこにあるか知ってるだろうか?もちろん、モスクワ地方のヴォロコラムスク市だ。ただし、映画の中の墓場はブルガリアにある。
暴走特急 シベリアン・エクスプレス(2008年)
シベリア横断鉄道を舞台にした冒険スリラー映画はリトアニアで撮影された。シベリアにある都市イルクーツクの鉄道駅は、見間違うなかれ、それはこのバルト海の国に首都ヴィリニュスだ。そしてウラジオストクはクライペダというリゾート都市で撮影された。おそらくプロデューサーは、旧ソ連の空軍基地にある今は使われていない格納庫が役立つと考えたのだろう。
おまけ
「バイオハザード:リトリビューション」(2012年)
撮影チームはモスクワの地下鉄での撮影を許可され、アルバート駅でのシーンを見ることが出来る。これは本物!