ロシア三大ミステリー(ディアトロフ峠事件以外)

ライフ
ニコライ・シェフチェンコ
 原因不明の謎の爆発、異常地帯、森で見つかった気味の悪い生物――ロシアのこれらの謎は、今も未解決のままだ。

1. ウラル山脈の「Xファイル」

 1996年夏、ウラル地方の小さな町クィシトィム(モスクワの1764キロメートル東)に住む精神分裂症患者のタマーラ・プロスヴィリナが森で奇妙な生物を見つけ、家に持ち帰った。

 彼女はこの生物を、当時窃盗の罪で服役中だった息子に因んで「アリョーシェニカ」(アレクセイの愛称)と名付けた。

 この生物を見た人々は、これが全く人間には見えないと言った。「彼の口は赤くて丸く、彼は私たちを見つめていた。彼は悲しげで、彼を見ているとかわいそうになった」とアリョーシェニカを見たことのあるプロスヴィリナの義理の娘は回想している

 プロスヴィリナが精神病棟に入院すると、この生物は死んだ。誰も面倒を見てくれる人がいなかったからだ。その死体はプロスヴィリナの友人によってミイラ化され、その後地元の警察に没収されたが、警察はその起源をまるで捜査しようとしなかった。

 後にメディアによって「フォックス・モルダー」とあだ名されることになる地元の警察官ウラジーミル・ベンドリンは、この事件の謎を解こうとした最初で唯一の人物だった。彼は死体を自宅の冷蔵庫に保管し、複数の報告書の作成を依頼したが、残念ながらそれらは互いに矛盾するものとなった。一方の報告書はアリョーシェニカが人間ではなかったとし、他方はこれがひどい奇形を持った子供だったと結論付けていた。後者の仮説はあり得ないことではなかった。クィシトィム市は福島やチェルノブイリに匹敵するソ連史上初の原子力災害が起きた場所だったのだ。

 今日、謎の生物の起源について決定的な結論を出すことはほぼ不可能だ。事件の関係者はほとんど全員すでに他界してしまい、生物の死体は消え、彼の「母」タマーラ・プロスヴィリナは真夜中にトラックにはねられて死亡した。

2. Mゾーン

 UFOの目撃、幻覚、謎の光る飛翔体の報告、方位磁針や電子機器の異常。これらすべて、ロシアの大自然の中にある異常地帯の特徴だ。

 ペルミ地方の深い森の中にある45平方キロメートルの地帯は、ロシア国内外の多くの人に「モリョプスキー・トライアングル」や「ペルミ異常地帯」、「Mゾーン」といった通称で知られている。

 光る球から体調不良、精神的・肉体的な高揚、異常気象や機器の異常、重度の幻覚まで、複数の証言者がこの地帯で起きた多くの奇妙な出来事を報告している。

 UFOの無数の目撃情報も相俟って、Mゾーンは多くの人々を熱狂させている。 FOXのテレビ番組「サイティングズ」のクルーを含め、答えを求めるUFO学者や旅行客の集団がこの地帯へ向かっている。今のところMゾーンを訪れてその謎を解いた者はいない。

3. ツングースカ大爆発

 1908年6月30日、シベリアの奥地の森で正体不明の物体が爆発した。研究者らはその物体がポトカメンナヤ・ツングースカ川の上空で爆発し、水爆に匹敵する規模の損害を与えたと見積もっている。爆発の結果、北半球全体で磁気嵐が吹き荒れ、爆心地付近の森は壊滅した。

 爆発は爆心地から800キロメートルも離れた集落でも感知され、誰も残骸(例えば隕石の)を発見しなかったことから、現地住民の間で謎の出来事の真相についてさまざまな説が広まった。キリスト教徒の一部はこれをキリストの第二の降誕と考え、異教徒の原住民はこれを雷神の降臨と見なし、またある人々はこれを第二次日露戦争の勃発と勘違いした(日露戦争は1905年に終わったばかりだった)。米国人発明家ニコラ・テスラの実験が失敗したのではと疑う人までいた。

 それから科学は進歩し、爆発の真相解明のため何度も調査団が送られた。しかし、ツングースカ大爆発は今日まで謎のままだ。その要因は、現場にクレーターがなく、爆発を引き起こしたであろう物体の残骸も見つかっていないことである。壊滅的な爆発は起きたがその原因が見当たらないとあって、現在までさまざまな陰謀説が囁かれている。これが宇宙人の原子力宇宙船によるものだったと考える人もいれば、反物質の塊が原因だと信じる人もいる。また氷の隕石が爆発の衝撃で溶けてなくなったのだという人もいる。いずれにせよ、ツングースカ大爆発もまたロシアの未解決ミステリーの一つであり続けている。

 ディアトロフ峠事件の三大トンデモ陰謀説について読むにはこちら。 

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