そもそも人の心理に興味がありました。老人ホームで人の体が衰えている。そんな人を手伝うために色々老人ホームと携わる傍ら、音楽を教えたりしました。音楽を習ったことがない人たちに音楽の基礎を説明したり、音を出したりすることも教え、一人一人はできないことがありましたが、全員が集まると、すごい力になりました。
予め何か決めれば、音楽が固定してしまう。だから、来てから考えるということは大事で、コンサートの前に特に準備をしません。設備などの準備のみし、全く何も余計なことを考えていない状態です。聴衆の前に現れるや否や、皆の感情を読み取り、演奏します。結局、全てがインプロビゼーションです。
いだきしんと高麗恵子。高麗恵子さんが24歳だった頃、癌と闘い、いだきしんと出会ったおかげで、治る力を見つけ、癌を打ち克った。それを機に、いだきしんと高麗恵子の友情が創造的な協力に変わり、一緒に世界中コンサートを行うようになった。
Press photoロシア人についてあれこれ言えませんが、コンサートを行う際、体がどのように音楽に応じるかを見て、多くのロシア人に心臓の問題があるとか分かりました。
子供の頃からロシア民謡を学校で習いましたが、初めはこれが日本の音楽と思っていました。しかし、情緒と歌い方のセンスが違うことが分かりました。それから、チャイコフスキー作曲のピアノ演奏をたくさん聴いて、チャイコフスキーはプーシキンの作品に基づいて色々な曲を作ったと知って、それをきっかけに、プーシキンに興味を持つようになりました。
しかし、プーシキンの小説を読んで理解したと思ったことは大間違いだったので、ロシアに来てから、もう一回全部読み直したいと思いました。そして、プーシキン全集を日本で買いました。しかし、実は全部ロシア語で読みたいです。未だに言葉が理解できませんが、小説を読むと、ロシア語の特殊性がわかります。どんな言葉にもそう感じられる特殊なところがあり、特にロシアの小説の書き方が好きです。
ロシアの作家の中で一番読んだのはドストエフスキー。でも、彼の感情は私にとって一番理解できません。なんでこんなに大変なことを書くのか。一度に五人が死んでしまうシーンがあることとか。そんなことを書く作者の心理状態は、日本文学の中にはなかなかないでしょう。そういうことが『罪と罰』に書かれています。
またトルストイも有名ですが、自分が嫌いな女の人について悪く書いていることは気に入りません。自分のタイプの女性が幸せな暮らしをしているのに対し、アンナ・カレーニナのような自分が気に入らない女性は苦しんでいます。
モスクワはもっと活発な街になったと思います。きれいなビルだけではなく、若い人の数が増えました。その姿を見て、モスクワはもっとグローバルな街になったと感じました。
ロシアに10回以上来たことがあります。モスクワ以外では、サンクトペテルブルク、ウラジオストクなどを訪れました。日本とロシアの違いはやはりありますが、私はほぼ毎年北海道に行きます。北海道の北側にロシアとの交流があり、ロシア語の標識が並んでいます。あそこに住んでいる日本人の若者が元気なのに対し、東京のほうが沈んでいます。ロシアとの関係がより深いから、若者が明るいかもしれないと感じました。
ロシアと日本の間に様々な問題があるけれど、個人を見ると、ロシアを好きな人がいつもいました。日露戦争の前にもロシア文化に興味があり、プーシキンを愛読した軍人もたくさんいました。にもかかわらず、戦争が始まった際、全部の交流が停止し、個人より国家のほうが謳歌されました。しかし、今の若い人はそんなことについて考えていません。日本人とロシア人が仲良くなる要素がたくさんあります。
ロシアで強い印象を与えられたのはサーカスです。体の動き方が全然違います。それに、バレー。こんな音楽でこんな風に体が動くのがすごいと思いました。それから最近ではスケートとか。残念なことに、ロシア選手はオリンピックに参加できないことになりましたが、このような時にもっとここに行きたいという気持ちが強くなります。
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