ロシアのナディム(モスクワから3,129キロに位置するヤマル半島)出身の写真家オクサナ・イオズギュルは自らのプロジェクトの中で、自動車を保管するよりも遥かに重要な休暇の場所が置かれているロシア北方のガレージがどのようなものかを撮影し、紹介している。
「わたしは90年代に、ツンドラ地帯にある人口1,000人ほどの小さな村に生まれ育ちました。その村にあった娯楽といえば、文化会館、スケートリンク、子どものための音楽学校、体育館だけでした」とイオズギュルは回想する。
「大人たちは休暇に変化をつけようと自分たちで色々と考えていました。ガレージはほぼすべての人が持っており、人々はガレージで集まり、シャシリク(バーベキュー)をしたり、友人たちとおしゃべりしたり、「自然を楽しんだり」、日常生活に変化を加えたりしたものです」。
最初は自動車の周りに丸イスやカセットデッキを置くだけだったのだが、お楽しみの場所は次第に大きくなっていき、ガレージ内での重要な機能を果たすようになっていった。
イオズギュルによれば、ガレージの改造は、北方に暮らす人々にとっての新しい娯楽になっている。
「最初、地元の人々は自分の自動車のボンネットの中を触っていただけだったのが、今ではガレージに暖炉やバーニャ(ロシア式サウナ)があったりするんです。それぞれのガレージに所有者の特徴が感じられます。すべて心を込めて、愛情を持って作られたものです。ときには家よりも快適なガレージがあるほどです」とイオズギュルは強調する。