私は、スーダンからセルビアまで、多くの国に長い期間住んでいたが、ある場所にどれだけ精通し文化的に調和していたとしても、本当の地元の人が感じる愛着や憎しみを理解することはできない、ということがわかるようになった。それが人間のあり方なのだ。自分の文化に対する暗黙の(または生来の)理解の仕方には違いがあるということだ。
モスクワに10年間住んでいたとしても、あなたの中に残る部外者であるという部分が、後天的なものとは対照的に、生まれつきの文化的マトリックスを通してしか経験できなくさせることで、様々な感情からあなたを守る泡のようなものを作り出すのだ。私にはそのバブルはない。さあ楽しい時間の始まりだ。
薄っぺらい導入はこのあたりで終えて、これからモスクワ地下鉄によってなぜ私がロシア人同胞を殺したいような気持ちになっているのかを話そう。
老若男女みんな自分勝手
ロシア・ビヨンドのオフィスが近くにあるノヴォクズネツカヤ駅は、十数ほどの券売機と2つの入口が並んでいる球状の構造になっている。午後6時にそこにいたくはない。 5時50分までに仕事を終えるか、少なくとも7時以降になるまで待とう。これら2つが選択肢だ。それ以外の選択をすると、肉挽き器の中に入ることになるだろう。その隘路を6階にあるオフィスの窓から眺めていると、その光景は牛挽肉そのものだ。
ロシア人は平等のために常に混沌と割り込みを招くような都市空間を構築してきたのだ。日本はこの法則に充てはならない注目に値する例外だ。日本人はスペースに関係なく、スマートフォンを見ながら並んで待つのが大好きだ。一方、ピーク時に地下鉄に乗ろうとするロシア人は、「ウォーキングデッド」に登場するエキストラのように振る舞う。一人ひとりが時間を争って、券売機に向かう途中で他の人全員を追い越す。整列するという概念は、誰かが交通信号システムをハッキングしたかのようなロシアの交差点のせわしなさと同じくらい存在しない。
息ができなくなるまでスペースを詰める
それから列車に乗るための列に並ぶ。運よく到着するとすぐに開くドアの隣にいることできれば、まだ呼吸スペースがある。酸素の供給量が火星レベルに低下すると、さらに3〜5人が顔を圧迫し、胸郭を窒息させ、口腔衛生のない中で呼吸しなければならない。ここに住んでいる人だけが、次の列車を待てなかったというこの失敗で、周りの乗客がたった2センチメートルの呼吸するためのスペースすら許さなかったとき、これがソビエト生まれの性質の一部であると理解するのだ。他人の個人的なスペースを考慮するように教えられたことはない。これは単に不必要な贅沢だ。
ホロホロ鳥と奇妙な生き物たち
モスクワ地下鉄でも奇妙な動きを見ることができる。目の前の人を追い越した後、まったく同じ軌道で歩き続けるのに、追い越された人よりもゆっくりのペースで歩き始める。なぜ私を追い抜こうとして時間を使ったのだ?なぜあなたは今ゆっくり歩いているのか?なぜ私の行こうとする前を歩くのか?
このようなことをする生物を他に知っているだろうか?それは、ホロホロ鳥と呼ばれるアフリカの鳥だ。白い斑点と王冠のある青みがかった鶏に似ており、最も好奇心の強い動物だ。ランドローバーで舗装されていない道を運転していると、この生物には自分の命を救うために単純に向きを変えて逃げる能力が欠けていることに気付く。この鳥は、C4爆薬を置いた建物から爆破する前に逃げる必要があるかのように、決意を持って前に進み続ける。ただ、ホロホロ鳥の場合には、いまいましいことが実際に起こってしまう。一方、ロシア人は人を追い越した後、その人がいた列に滑り込み、自分自身のペースで後ろの人を歩かせる。
ドアの前に立って次の駅で降りる準備ができていることを知らせると、車内でも同じことが繰り返される。ロシア人の老若男女は、ドアとの間にある5インチの隙間に押し入ろうとしてくる。それから、ほんの少しのスペースのために歯と爪を使って戦っ他の地に、優雅に歩き始め、後ろの人の歩みを遅くするのだ。
「くそが、邪魔だ、退け」
次に、女性についてだ。これを話すと嫌われるかもしれないが、モスクワの地下鉄は、高貴な意図のあるNetflixの番組より速くどんな男も性差別主義者に変えてしまう。
西洋では女性がまだ勇敢ではなく、また積極的に挑戦しないという不満が言われているが、私たちは白馬の騎士と麗らかな乙女の王国に住んでいるのだ。ロシア人の女の子は、子供の頃から、あなたの人生は何にも代えがたいプリンセスだと言われて育つ。 WhatsAppを使っている間、後ろ全員の歩く速度を落ちることも含めて。
ルックス部門で10人中7位以上の人を見つけることがあるだろうか?避けよう!
私は次のような見解に達した。17〜33歳のモスクワに住む女性はみな、毎日100万ドルに及ぶような契約を結ぶ非常に重要な起業家なのだ。 20人の人が狭いホールやステアリフトである人を追い越すことができない場合、十中八九先頭にいるのはだいたいスマートフォンを持っている女性であるという事実を、他にどのように説明できるだろうか?中国での採掘作業を拡大しようとしている人なのだから、チャットに夢中になっていて、その背後で大きな音を立てても意味がないのだ。
状況はだんだん悪くなってきている。さらに。
2011年頃から、新駅の建設ラッシュが始まった。
2018年には、新しい駅が17駅も建設された。 2019年にはさらに10駅できる予定だ。新駅の一部は市の郊外にある村にまで広がっており、その負担は10倍になっている。
モスクワは本格的な建設ブームの真っ只中にあり、ウエストラインは引き締まらなければならなくなっている。アパートは小さくなり、水力発電所は通常の3倍の負担に直面し、道路は狭くなり、交通はロサンゼルスレベルになり、ショッピングモールや高層ビルが引っ越しを妨げる町全体の高級住宅街化を引き起こし、そしてもちろん地下鉄もあまり人口増加に対応できていない。すぐに、干し草の山、熊手を持って、ヤギを大切にし、妊娠中の女性と高齢者のために用意された席に枝角を置くことになるだろう。
2017年、モスクワ地下鉄は「絶対に必要でない限り、ピーク時にメトロを使用しないでください」という発表をした。しかし、車での移動には時間がかかるだけだ。
このような状況は、過密化している北京やロンドンと比較することができる。しかし、イギリスの首都とは異なり、モスクワは乗客の流れに影響を与えるような人口増加分の変化に関して少し制御できてはいないのだ。ロシアでは、建設会社がモスクワの小地区に新しい住宅と地下鉄駅を詰め込んで建設し、中心部へのルートを提供することも任されている。好むと好まざるとにかかわらず、市域は拡大している。
しかし、私たちはこれらの変化に対して完全に無力ではない。ロシア人は非常に適応力のある集団だ。私の見解では、公共空間でお互いにもっと配慮する必要があるだろう。もちろん、これはとある意見なので、これを読んだ後にお好みのバニラ風味の甘い香りのする「ロシアの魂」についての現実に戻ることは自由だが、次のことは覚えておいてほしい。つまり、モスクワはまるで世界の中でくそみたいな首都のように感じるかもしれない。これは、間違いなくロサンゼルスやロンドン、パリの住民も自身の都市に張ろうとするレッテルだろう。だからこそ、ロシア人の無原則な親切行為は私にとって貴重だ。ロシア人はあなたのスピリットを高め、あなたがより良くなるよう促す。でもそれはまれだからだ。都市の混雑は私たちに最悪の事態をもたらしている。このままにしてはいけない。