大学を中退して、スーパーヒーローのマスクを製作するようになった青年:そのマスクがハリウッドで評価されている(写真特集

アイダル・ミグラノフ

アイダル・ミグラノフ

MiGranStudio
 24歳のデザイナー、アイダル・ミグラノフさんはジェイソン・モモア、トム・ホランドなどの有名俳優たちのためにマスクを製作した。それらのマスクは小道具というよりも、芸術作品に近いものと評価されている。

 この写真のジェイソン・モモアはこの「アクアマン」のマスクを手にしていなければ、こんなに満足げな表情をしていないかもしれない。このマスクはロシアの小さな街ベロレツク(モスクワから1,600キロ)に住むアイダル・ミグラノフが製作したものだ。アイダルは幼いころから漫画が好きで、中でも「アクアマン」はお気に入りのキャラクターのひとつであった。 

 「漫画のヒーローたちは、まだ幼かったわたしにとって多くの意味を持っていました。ヒーローたちは完璧ではなく、欠点もたくさんありましたが、彼らの目的は完璧さそのものではなく、それに向かって進むという意思だったのです」とアイダルは説明する。 

 

 両親の強い勧めで、アイダルはバシキール国立大学の経済学部に入学したが、2年生のときに中退。2015年に映画「アントマン」が公開され、それにインスピレーションを得たアイダルは最初のマスクを製作する。

 

 「俳優(ポール・ラッド)の演技とコミカルなキャラクターに魅了され、グッズを買い、収集するようになりました。中でもマスクを集めようと思いましたが、その値段は28,000ルーブル(およそ45,000円)もして、わたしにはとても買えませんでした。それで、家にある素材で、自分で作ろうと思ったんです」とアイダルは回想する。

 

 最初の試みは経験不足により失敗に終わった。しかし、彼はマスク作りに夢中になり、しばらくしてバットマンのマスクを製作し、それをebay(インターネットオークションサイト)で売ることにした。そして2週間後、あるフランス人がそれを10,000ルーブル(およそ17,000円)で落札したのである。 

 

 2016年、アイダルは弟のフィダイル・ヌガマノフとともにロシアでマスクを販売しようと試みた。しかし需要は少なく、2人は半年間、カタログを作るため、さまざまなマスクを、材料費と同じ値段で販売した。

 少し後に両親や親戚が経済的に援助するようになり、そのお金を使って、3Dプリンターと「デアデビル」のマスクを製作するためのより高価な材料を購入した。

 

 アイダルは話す。「このマスクをデアデビルを演じたチャーリー・コックスが高く評価してくれ担です。それで知り合いを通じて、わたしたちはアメリカの彼にコピーを2つ送りました。1つは自分のため、もう1つはサイン用のものでした。彼に、自分たちの作品について広めて欲しいと手紙に書いたところ、彼は喜んで承諾してくれました」。

 

 それから2人のマスクは順調に売れるようになった。そこでアイダルはオンラインショップを作り、知人を通じて、ハリウッド俳優たちにマスクを販売するようになった。

 2018年、アイダルはMTVのデザイナーたちからオーダーを受けた。MTVアワードの授賞式のためのマスクの製作を依頼したという。

 

 次第にアイダルは製作仲間を増やし、小さな工房を持つようになった。現在、このMiGranStudioでは工房を開設した本人を含めて4人が働いており、毎月、35から40のマスクを製作している。

 アイダルは最近、大きなオーダーを受けたという。「リカルド・ラミレス(テレビドラマ「エージェント・オブ・シールド」、「グレイズ・アナトミー」の製作に参加。90年代にアカデミー短編映画賞にノミネートされた映画「ある小学校にて」のプロデューサー)からもオーダーが来ました。彼が作る長編映画の登場人物のマスクとコスチュームを作ります。詳細は明らかにできませんが、撮影は2019年の末に始まる予定です」。

 

 今後もアイダルはスタジオを拡大し、さらにハリウッドを魅了していくつもりである。

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