ロシアで産休を取る男性は2人に1人。その理由とは?

ウラジーミル・シトジコフ撮影/TASS
 子どもの世話をするために休暇を取ってもいいという父親はいたとしても、雇い主がそれを認めない場合があるのである。

 ロシアで父親が産休を取るというのは非常に珍しいケースである。ロシア連邦法は両親の権利は平等であると定めているが、子どもの面倒を見ようという男性は全体のわずか2%にとどまっている

 その理由はロシア人に特徴的なメンタリティによって説明される部分もある。ロシア人社会においては子どもの世話、家事などは今でも女性がすべきものだと考えられている。たとえ、その女性が配偶者よりも多く稼いでいたとしても、である。

 産休を取るまで、パヴェル・ズージンさんはトゥーラで公務員をしていた。娘が生まれて2ヶ月後、パヴェルさんと妻は話し合い、父親が家に残ることにした。「妻には自分のビジネスがあるんです。そのビジネスは彼女が管理していないと潰れてしまいます。でもわたしは特に損失もなく、仕事のルーティーンから離れることができるのです」。

 パヴェルさんは言う。職場の同僚たちは皆、産休を取るのは彼の方だろうと考えていたと。「しかし人事課ではとても驚かれました。初めての例だと言われました」。

 彼に賛同するのはカザンに住むイリナル・ギニヤトゥリンさん。彼は工場で働いていた。産休を申し出たときのことを思い出し、彼は「みんなものすごい反応をしました。上司はとても不満そうにしていましたね」と話す。しかし彼は産休を取ることにした。なぜなら彼は仕事に喜びを感じなくなっていて、とても疲れていたからだという。

ロシアの産休の期間は?

 基本的に、子どもが生まれた場合、親の片方だけでなく、職に就いている親族の誰でもが、産休を取ることができる。ロシアでは2007年にそのような法が採択された。ただし1つだけ例外がある。それは軍人の場合は、シングルファーザーとして子どもを育てている場合に限ること、またその期間は3ヶ月以内であることというもの。それ以外の職業の国民は最大で3年、しかも職場のポストを維持しながら、産休を取ることができる。

 産休は「分割」して取ることもできる。たとえば最初の3ヶ月は妻が子どもの世話をし、その後、夫に代わるということも可能である。また休みを部分的に使ったり、半日だけ出勤するということもできる。もちろん、男性が産休を申請する際には、子どもの母親が産休をとっていないことを証明する書類を提出しなければならないが、夫婦は正式に結婚していない場合もある。産休中に支給される給料は男性も女性も同じで、最初の1年半は固定給の40%で1ヶ月24,000ルーブル(およそ40,000円)以下、しかし次の1年半は1ヶ月50ルーブル(およそ80円)となっている。

 パヴェルは娘が3歳になるまで産休を取ることにしている。「なぜ男性がそれほど産休を恐れるのかわたしには分かりません」とパヴェルは驚く。「だってこれって最高じゃないでしょうか。未知の恐怖なんて数日経てばなくなります」。

良い父親は悪い働き手なのか?

アンドレイ・マラホフ

 産休を申し出る男性に対し、それを職場が拒否する権利はない。しかし社員が産休を取りたいと言ったとき、それはキャリアを伸ばしたくないという気持ちの現れだと解釈する企業もある。数年前、産休を申請した人気のテレビ司会者アンドレイ・マラホフはこのことで不快な思いをした。

 番組のプロデューサーは、産休を取るのをやめて番組に残るか、仕事を止めるかのどちらかを選ぶよう迫ったのである。この出来事はロシアの社会で大きな反響を呼んだ。というのも、彼は数百万人のファンに愛される司会者だったからである。結局、マラホフは止める決心をした。しかしこれを受けて、他の放送局は彼が妻を助けるために時間を与えただけでなく、彼のために新しい番組を作ったのである。

 産休を取った男性には、産休から戻った後にも仕事の問題が生じる。銀行員であるヴャチェスラフ・ナソノフさんもそんな問題を抱えることになった一人だ。「昨日、夫はよい役職から外されました。理由は2年前に子どもの世話をするため産休をとっていたからです」と妻でジャーナリストのカテリーナ・アルノはフェイスブックに投稿した。彼女は、「子どものために“病欠”する?そんな社員は必要ない」という、ナソノフさんのことを笑い飛ばした雇用主の言葉を引用している。

 しかしながらこちらの2人は逆に産休を新しいことを始めるきっかけにしている。イリナルは自分が設立した森林伐採の会社を大きくしている。「国家から支給される1ヶ月50ルーブル(およそ80円)では生きていけませんからね」。一方、パヴェルは今、在宅でインターネットサイトを運営しつつ、インスタグラムでブログをやっている。家事は妻と半分ずつ分担しているという。妻が料理を作り、彼は掃除とアイロンがけをする。「しかしわたしにとって、これはまったくしんどいことではありません。それに小さなお手伝いさんが少しずつ大きくなってくれていますしね」。

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