それは「男の」仕事じゃない?!女性社会の中で仕事する男性たち

ロシア代表のミハエラ・カランチャとアレクサンドル・マリツェフがテクニック・プログラムを演じる。シンクロナイズドスイミング混合デュエットの試合、ブダペストの世界水泳選手権2017にて。

ロシア代表のミハエラ・カランチャとアレクサンドル・マリツェフがテクニック・プログラムを演じる。シンクロナイズドスイミング混合デュエットの試合、ブダペストの世界水泳選手権2017にて。

アレクサンドル・ヴィルフ撮影/Sputnik
 ネイリストやといえば女性だけのものだと考えているあなた、これらのカッコいい男性たちを見て、考え直してみてほしい。

 ロシアには女性が就くことが禁じられている職業というものがある。それはたとえば生産業の重労働や坑内労働などである。しかし、多くの女性が溶接工、工兵、船長など、いわゆる「男の」仕事に就いている。一方で男性に対しては職業上の制限は何もない。しかし社会には、伝統的に「女性のもの」とされている職業がある。

 たとえば経理を職業とする人のうち男性が占める割合は30%、社会サービス業では20%、教師はわずか18%である。女性がほとんどという職場で男性はどのように扱われているのか、そして仕事に関する性別上のステレオタイプを恐れる必要がない理由とは?

イーゴリ・コンドラテンコ 保育士

 「幼稚園に就職したばかりのとき、父兄の方々はわたしに不信感と懐疑心を持っていたようですが、今はもう驚かれることもありません」。そう話すのはイーゴリ・コンドラテンコさん(25)。「同僚の先生がたも子どもたちのお母さんたちも、子どもたちがわたしに懐いていることに気がついたのです。ロシアの幼児教育は女性がするものという考えは正しくないと思っています」。

 イーゴリさんは大学の教育学部で障がい児の心理を専門に学んだ。クラスノダール(モスクワの南方1,300キロ)の併設型幼稚園で働いて5年目になる。園に通っているのは、脳性麻痺や自閉症など、発達障がいを持つ子どもたちだ。イーゴリさんは、子どもたちに成長や伸びが感じられたとき、自分は子どもたちを助けるためにここにいるのだということを実感すると話す。

 2016年、イーゴリさんは地域で最高の保育士に選ばれている。

アレクサンドル・マリツェフ シンクロナイズドスイミング選手

ロシア代表のミハエラ・カランチャとアレクサンドル・マリツェフ。シンクロナイズドスイミング混合デュエットフリー、ハンガリー、ブダペストの世界水泳選手権2017にて。第8日、予選。2017年7月21日。

 アレクサンドル・マリツェフさん(23)は史上初の男子のシンクロナイズドスイミング選手。 

 7歳からこのスポーツ競技を始めたが、男子が大会に参加できるようになったのは2014年から。大会に参加すると決めたとき、女子選手からはさまざまな反応があったという。しかし2015年、アレクサンドルはダリナ・ワリトワ選手と素晴らしいペアを組み、ワールドチャンピオンになった。

 アレクサンドルさんは、いまのところロシア代表チームのなかで唯一の男子選手であるが、彼のような存在が新たな世代の男子をこのスポーツに魅きつけるきっかけとなるよう期待している。アレクサンドルさんはサンクトペテルブルグに住み、トレーニングをしている。

ルスラン・ガラウトリノフさん ネイリスト

 電話1本で駆けつけてくれるネイルアーティスト。エカテリンブルグ出身(モスクワの東方1,800キロ)のルスラン・ガラウトリノフさん(33)は木の彫刻家からペディキュアのプロへと転向した。ルスランさん曰わく、以前の職業の技能も役に立っているし、芸術関係の学歴も無駄にはなっていない。

 「言えるのは、わたしは女の子たちに負けないようなペディキュアができるということ」とルスランさんは言う。彼はこれまでに男性のネイリストに出会ったことはないそうだが、自分の仕事を恥ずかしいと思う必要はないと考えている。またルスランさんを指名して予約をしてくれる男性客がいるとも話す。ちなみに木彫は今も趣味として続けているのだそう。

マクシム・ヴォチャコフ フラワーデザイナー

 カザン(モスクワの東方800キロ)出身のマクシム・ヴォチャコフさん(21)は幼年時代から花が大好きだった。花が好きになった理由については、「学校時代にサボテンを盗んで帰るようになって、それで大好きになっていった」と説明する。

 最初はブーケを作っているだけだったが、フラワーデザインを学ぶようになり、2017年には若きプロのためのコンクールWorldSkillsで優勝、ロシア最高のフラワーデザイナーに選ばれた。

 彼はコンクールの出場者の中で唯一の男性だったが、彼の技術と芸術的センスが審査員たちを魅了した。

ユーリー・ストリャロフ  メイクアップアーティスト

MaybellineNewYorkロシアの公式メイクアップアーティスト、ユーリー・ストリャロフとモデルたち。メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク ロシアのファッションショーにて。

 美容界で有名な人物の一人であるユーリー・ストリャロフさん(40)は化粧品メーカーMaybellineNewYorkロシアの公式メイクアップアーティスト。ジャーナリスト学部を卒業したが、メイクアップアーティストになるため、この職業には就かなかった。最近は変身を楽しむロシアの人気TV番組にも頻繁に出演したり、マスタークラスを開いたりしている。

 ユーリーさんは「”美は世界を救う”という考え方がとても気に入っています。そしてそのプロセスに関わることができればといつも考えています」と話している。 

 

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