ロシア人はなぜ週休3日制に反対なのか? 

ライフ
エカテリーナ・シネリシチコワ
信じられないことに、ロシア人の半数が金曜日が休日になることに反対している。

 ロシア政府は1週間の労働日の削減について協議する意向だとしている。これに関連して、ドミトリー・メドヴェージェフ首相は、スイスのジュネーヴで開かれた国際労働会議の席上、「技術の進化により、現実的なものとなった」と指摘し、「将来的に週休3日が社会契約、労働契約の基準となる可能性は高い」と述べた。

 メドヴェージェフ首相は、100年前に自動車メーカー、フォードの創設者であるヘンリー・フォードが週間稼働時間を48時間から40時間に削減し、これにすべての人がただただ喜んだこと、またニュージーランドの企業PerpetualGuardianが昨年、効率をあげることを目的に週休3日制を導入したことを引き合いに出した。

 また首相は「より柔軟なシフト、遠隔勤務、必要に応じて出勤する体制といった新たなアプローチが必要である」とも述べた。これはロシアの人々に大きな期待を持たせるものとなったに違いないとあなたは思うだろう。なんて素晴らしいニュースなのかと。しかし実はそうではないのである。

 最新の全ロシア世論調査センターの結果によれば、ロシア人のほぼ半数(48%)がこの考えに支持しないと表明している。またどちらでもないと答えた回答者は17%であった。

ロシア人は本当にこれに反対なのか?それはなぜなのか?

 実はこのニュースにほとんどの人が喜ぶどころか、不安を感じたのである。というのも、ロシア人は労働日、勤務日が減れば、給料も減ると思っているからである。なぜか、給料はそのままで労働日だけが少なくなるというポジティヴな考えを持つ人はほとんどいない。

 また14%の回答者が、労働日が減ると、社会にはアルコール依存や麻薬中毒が蔓延すると答えている。

 専門家らもこれに関しては楽観的な見解は見せていない。法律事務所BMSローファームのドミトリー・レスニャクGRプラクティス主任は新聞ガゼータ.Ruの取材に対し、「もし働く時間が短くなれば、当然ながら給料も減るでしょう。いくつかの地域では労働生産性が落ちる可能性もあります」と指摘する。また企業連合「ロシアの支点」は、1日増えた休日を楽しむためのお金がない可能性もあるとの見方を示している。しかしメドヴェージェフ首相が述べたように、週休3日制への移行はいずれにしても急速に行われることはなく、それまでにまだ議論の余地はある。給料の問題もその一つである。

ロシア人はいかにたくさん働いているのか?

 ロシア人は実際非常にたくさん働いている。経済協力開発機構(OECD)のデータによれば、ロシア人の労働時間は年間1,980時間で、世界でももっともよく働く国のベスト5に入っている。これはフランス(1,526時間)、ドイツ(1,356時間)、アメリカ(1,780時間)、日本(1,710時間)より多い。週間労働時間は40時間にもなる。

 しかし一方で、次のような矛盾がある。それは、ロシア人は年間の休日がもっとも多い国民でもあるということである。新年の休日だけでも9日も続くし、加えて、いわゆる「旧正月」、国際婦人デー、祖国防衛者の日、長期休暇となる5月の祝日(共産主義時代から残る春と労働の日、第二次世界大戦の戦勝記念日など)、それにロシア人自身も何の日か知らずに祝う祝日がある。

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