ダリヤ・ユスポワ:ロシアで愛されている女性警官

ライフ
ニコライ・シェフチェンコ
 騎馬警察の曹長であるユスポワさんはテレビ番組に出演し、警察内の男女についてのステレオタイプを払拭しようと戦っている。

 1.ダリヤ・ユスポワさんはごく普通の警察の軍曹であるが、「もっとも美しい警官」と言われ、テレビ番組にも出演している。現在24歳の魅力溢れる彼女は、その人気にもかかわらず、ロシアでは今でも男性の職業とされる警官としての仕事を続けている。

 2.ダリヤさんは18歳のとき、警察での勤務をスタートした。

 「学校を卒業した後、モスクワに引越して、検問所に行き、ここで仕事をしたいと言いました。自分がここに来たことを誰かに前もって知らせなければならないなんて、わたしは知りませんでした」。

 3.ダリヤさんは面接を受け、騎馬警察の部隊に配属された。まだ若かったが、乗馬の経験はすでにあった。 

「子供のときからなんとなくそのような職業に憧れていたんですが、具体的に決めることはできませんでした。警察、軍隊などいろいろな選択肢を考えていました。しかし、わたしは自分ができること、つまり馬に乗れるということと、人を助けるという2つのことを同時にできる仕事を選ぶことにしました。騎馬警察はわたしにとって理想的な選択となりました」。

 4.ダリヤさんは騎馬警察で2年働き、テレビのリアリティ・ショー「開け、警察!」のオーディションに受かった。この番組ではモスクワ巡回・検問局の2人の職員が登場する。経験豊富な2人の職員が外での仕事をまだよく知らない2人の新人研修生を連れて周る様子が映し出される。

 5.一見、若くて弱そうで傷つきやすそうな女性が、巡回・検問所での任務の経験のなさとこの職業では珍しいほどのスタイルの良さで、このプロジェクトにぴったりハマった。

 「わたしは研修生でした。騎馬警察についてはすべて知っていましたが、巡回・検問所での仕事についてはまだ何も知りませんでした。それはわたしにとって新鮮で、非常に面白いものでした」。

 6.若い女性とともに行う夜間のパトロール中には、さまざまなことが起きた。ときには非常事態が起こることも。 

 「酔っ払いの一人がカメラマンに襲いかかって来たんです。撮影されているのが気に入らなかったと言って。わたしとペアを組んでいた警官がもう一人の犯罪者を取り押さえていたので、わたしはカメラマンを守り、その酔っ払いを排除するしかありませんでした。しかしその男はわたしと揉み合いの喧嘩に出たのです。わたしはこの巨大な男にわたしは一人きりなんだと理解しました。しかし、彼が気を抜いた瞬間にわたしは手錠をかけることができました」。 

 7.騎馬警察での任務中、ダリヤさんは困難な状況を切り抜けなければならない。

「モスクワでサッカーの試合があって、ファンたちは火をあげていました。馬はこれが嫌いで、わたしは馬の状態を見守りつつ、群衆を追い散らさなければなりませんでした。しかしすべてうまく収拾できました」。

 8.彼女は言う。どのような危険があっても、勤務中に恐怖を感じたことはない。

 「わたしは恐ろしいと思ったことはありません。危険なときにこそアドレナリンが出て来ます。すべての責任がわたしにあると感じるのです」。

 9.任務中の出来事が心理状態に影を落とすこともある。 

 「苦しいときがあります。それは不幸な人々を見たときに感じることです。わたしはなんでも敏感に感じ取り、真剣に受け止めてしまう性質なんです。彼らが本当にかわいそうだと感じます。仕事のあと、何か空虚な気持ちになることがよくあります」。 

 10.精神的にきつい仕事ではあっても、ダリヤさんは楽観的な姿勢で、仕事に喜びを見出そうとしている。 

 「優しい人たちが、公園に馬に乗った警官がパトロールしているのを見て、近づいて来て、喜んでくれます。子供たちもとても嬉しそうです。馬をなでさせてと言って来たり、何かを食べさせてくれたりします。そんなときはエネルギーをもらいます」。

 11.リアリティ・ショーの撮影中に、ダリヤさんは将来の夫となるレナート・ユスポフさんと出会った。たまたま、巡回・検問所でペアを組んだ相手である。

 12.軍曹のレナート・ユスポフさんは、危険で、ときには残酷な外での職務経験のない研修生を部下にすることになったとき、すでに10年以上にわたってモスクワの通りでパトロールをした経験があった。さまざまなシチュエーションで、経験豊かなユスポフさんは部下に真の体験をさせ、激しく非難することもあったという。

 「でも後に彼は、ときどき何かあったときにそのことに対してだけでなく、今後のことを考えて怒ったこともあったと言っていました。わたしにはもちろん完璧にできないこともありました。でも、完璧な人なんているでしょうか?誰もが研修を受け、失敗もするものです」。

 13.プロジェクトが終わる頃、レナートは彼女に対する態度を一変させた。 

 「夫は、わたしの力と忍耐力に驚いたと言いました。わたしがさまざまな状況に対処できるかどうかを確かめるために、彼は何度もわざとわたしを怒らせようとしましたが、わたしは男性たちから尊敬してもらえるような振る舞いをすることができました」。

 14.テレビ番組の撮影が終わった後、ダリヤさんは最初に配属された古巣の騎馬警察に戻った。

 「巡回・検問所で働く女性は多くはありません。ほとんどが男性で、わたしはやや特殊な存在でした。ただし騎馬警察には女性もたくさんいます。全体の3分の1くらいでしょうか」。

 15.しかしダリヤさんは同僚を性別で分け隔てることはないという。 

 「警察内では男女の区別はありません。職務にも差はありません」。

 16.ダリヤさんのインスタグラムにはおよそ5万人のフォロワーがいる。しかし広告で稼ぐことは許されていない。

 「バイトをしたり、副収入を得ることは禁止されています。インスタグラムは自分のため、そして喜んで読んでくれている人たちのためにやっています」。

 17.インスタグラムでは騎馬警察に入ってみたいと思う人たちのために、騎馬警察の仕事について投稿している。 

 「わたし自身も騎馬警察については変なイメージがありました。その内容について書いたり、話したりする人が今までいなかったからです。だからわたしはそれを人々に伝えたいのです」。 

 18.ダリヤさんは言う。警察で働いてみたいと思う若い女性たちは、困難が待ち受けていることを覚悟し、相当のやる気がなければならない。

 「本当に楽な仕事ではありません。お金は欲しいけど、何もしたくないという人が来るところではありません。ここに来るべきなのは、公共の秩序を守り、人を助けたいという人です。本当に簡単なことではありませんが、やってみたいという人がいれば、ぜひ来て欲しいと思います。良い給料をもらおうとやって来る人はいません。誰もがこの仕事を望み、この仕事が気に入っているのです」。

 19.現在、ダリヤさんは軍曹として部隊に所属しながら、内務省大学で高等教育を受けている。