ロシアの平均的な結婚式はこんなふうに行われる:朝、カップルはザクス(婚姻登録会館)で登録をし、その後、地元の名所に写真撮影に行く。それから、レストランでゲストたちとお祝いをする。一か月以内ならどこのザクスでも届を提出できるが、外国人との結婚の手続きはどこででもできるわけではない。
厳密に言うと、結婚にかかる費用で絶対に必要なものはただひとつ――国に払う結婚登録料だ(2019年は350ルーブル―5.5ドル)。その他の出費はすべて、新婚カップルの希望と懐具合による。どこかへ出かけて式を挙げる人もいるし(例えば、モスクワなら郊外の古い美しい屋敷で結婚式をすることもできる)、結婚代理店に依頼する人もいる(ロシアではこの手のサービスはイベント費用の約10%をとられる)。あるいは、身内だけでささやかなお祝いの宴席を開く人もいる。平均的な資金をもつ若い人たちに、自分たちの結婚式にどれだけお金がかかったか話してもらおう。
アメリカ出身のジャーナリストのティムは2009年にロシア人女性と結婚した。結婚式はモスクワで行われた。当初二人は、モスクワ市内を周って写真を撮ろうと、大きなバンを予約した。「僕たちはほとんど赤の広場でやりました、僕の家族が見たがっているだろうと妻が考えたからです。彼女は正しかったです」と、ティムは当時を振り返る。20人のゲストを呼んだ披露宴はダーチャで行った。「ほぼ3日かけて料理を用意しました」とティムは語る。結婚指輪込みで、全部で約3,000ドルかかった。
ユリヤは、モスクワで働いていた恋人を追って、モスクワからエカテリンブルクへ引っ越した。結婚式もこのウラルの首都で2018年に行うことにした。ユリヤいわく、ゲストに招いたのは、両親と数人の友人だけだ。
「朝、私たちはスタジオに集まって写真を撮りました。正午にザクスに行き、そのあとエリツィンセンターにある市内でいちばんいいレストランの一つに向かいました」とユリヤは話してくれた。プロポーズから結婚式まで半年ありましたから、すべて少しずつ支払っていきました。「いちばん高かったのは花婿の衣装です、40,000ルーブル(620ドル)もしました。私のドレスは27,000ルーブル(420ドル)でした。私は引裾のないドレスを見つけたかったのだけど、これがまた冒険でした。披露宴はアルコール代込みで30,000ルーブル(465ドル)でした。花嫁と双方の母親のヘアとメイクで10,000ルーブル(155ドル)、写真代が12,000ルーブル(185ドル)、花嫁のブーケが5,000ルーブル(80ドル)。指輪はクラシックなもので、ペアで14,000ルーブル(200ドル)でした。
「さらに私たちの結婚式は、アート・パーティにしたんです――全員が、画家の指導にしたがって絵を描いたの。私たちの両親は結婚式で初めて顔を合わせたんです。だから、皆で一緒に取り組めるチームビルディングのようなことをしたんです。全員が記念に一枚ずつ絵を持って帰りました」。
「私たちの両親は、本格的な盛大な披露宴を望んで、その費用を払うと言ってくれましたが、私たちは反対で、すべて自分たちでやりたかった」と話すのは、2016年に結婚したマリアだ。結婚登録とゲスト30人用のビュッフェ式パーティを、モスクワでもっとも美しくて人気の場所、グリボエードフ結婚会館で行った。
「あそこでの費用は全部で約70,000ルーブルでした。音楽も写真も食事もアルコールも込みで」。さらに、レトロなリムジンに10,000ルーブル(155ドル)、その他諸々にも同じくらいかかった。花嫁のヘアとメイクは7,000ルーブル(110ドル)で済んだ。指輪には50,000ルーブル(775ドル)かかった。レストランの代わりに、新婚夫婦は、20,000ルーブル(310ドル)払って、素敵なホテルで二人きりの休日を過ごすことにした。
結婚式の準備には3か月かかり、マリアがお金を貯めたものはひとつ――ウエディングドレスだけだった。ドレスは高級シルクをオーダーメイドで縫ってもらった。正確な金額をマリアは言おうとしなかったが、50,000ルーブル(775ドル)以上はしたと言う。将来マリアは、このドレスを着てもう一度写真撮影をしようと思っている。
「大がかりな結婚式はしたくなかったんです。お金は旅行に使うほうがいいと思っていたんだけど、両親が古典的な結婚式をしたいと言ってきかなくて、費用もすべて払ってくれるつもりでいたんです」とエカテリーナは話してくれた。「両親は私たちのお金を受け取ろうとしませんでした、それで、結婚式の費用はすべて両親が払ってくれたんです。そのために借金までしたんですよ」。
結婚式は2018年の夏に2日間かけて行った。まず初めにゴリボエードフ結婚会館で登録をし、それからモスクワ川の遊覧船に乗った。二日目は、モスクワ郊外のクラブでお祝いをした。テントのレンタル料が約120,000ルーブル(1,850ドル)、宴会費用が70,000ルーブル――1人あたり5,000ルーブル(77ドル)。花嫁のドレスは30,000ルーブル(460ドル)以上した。「ドレスは“ウエディング”用じゃなくて、乳白色のを選んだんです、結婚後も着れるように」とエカテリーナは言う。
「2016年に私たちが結婚式の計画を立てていたとき、私は知り合いのご夫婦たちに、いくらかかったか聞いたんです。そしたらみんなが、最低でも50万ルーブルはかかると答えたんですよ。すべてをかなり質素に済ませた人たちもです」とアンナは話す。私は決心しました、彼等はすべてを滞りなく計画できなかっただけ、でも私はすべてうまくやってみせる、だって私はマネージメントの女王なんだから」。
ソチに行く結婚式から郊外のクラブまで、さまざまなタイプの式を練った。しかし結果的には、まったく偶然に全ロシア博覧センター(VDNKh)を散歩していたときに、オープンしたばかりのレストランを見つけた。素晴らしい眺望が広がる美しい窓があって、ザクスからも近く、この場所が理想に近いと決めた。
「200,000ルーブルで収まるだろう、まあ、最大でも300,000かなと軽く見積もっていました。だから、特に貯金したりはせずに、その都度支払いをしました。もしも誰かが、私たちもやっぱり500,000はかかるよと言ってくれたとしても、私は何かしようとはしなかったでしょうね」とアンナは言う。
トータルで、レストランにゲスト30人分で220,000ルーブル(3,400ドル)プラス、デコレーションケーキ代20,000ルーブル(300ドル)を支払った。ドレス50,000ルーブル(770ドル)の購入は両親が援助してくれた――ドレスは、モスクワの小さなアトリエにオーダーした。新郎の衣装は30,000ルーブル(460ドル)で購入。「ホールの装飾は私の知り合いがやってくれました――約30,000ルーブル(460ドル)でした」。さらに、披露宴の司会とDJに55,000ルーブル(850ドル)、カメラマンに50,000ルーブル(770ドル)。ヘアとメイクは15,000ルーブル(230ドル)で済んだ。残りは、写真撮影用の透明の傘といったこまごまとしたものに使った。
「今になれば、節約できただろうなというところも想像できます。でも、せっかくのお祝いにケチケチしたくないでしょう――すべて最高でしたよ」。
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