ロシア人はなぜどの酒よりもウォッカを一番好むのか?

 ロシア人皆が揃ってウォッカ好きであるとは必ずしも言えないかもしれないが、この伝統的な「ハーフ・リットル瓶」の持つ長所をいつも見つけ出そうとしているのも事実である。

 すべてのロシア人が大のウォッカ好きであると決めつけることは馬鹿げたことであろう。若い女性はカクテルが好むし、ヒップスター連中はクラフトビールを楽しむ。また、結婚したカップルたちは棚にワインを並べていることが多い。ウォッカはこれらの酒と並べられるものなのか?

 統計は必ずしも正確とは限らない。2012年、世界中のウォッカの消費のほとんどをロシアが占めていたが、当局のレポートによると2018年にはその数値が80%ダウンしたと言うのだ。少なくとも言えるのは、いずれのデータも少しは当たっているかも知れないが、ロシア人がいかにウォッカを愛しているかを語るのには不十分だ。

 データがどうであろうと、ロシア人はウォッカを好み、その理由はあまりにも巧妙である。

料理との相性

 ウォッカは食前酒でも食後酒でもない。食事を取りながら飲むものだ。しかし重要なことはやはり特にロシア料理に合うという点である。

  「ウォッカを楽しむ秘訣は、正しいおつまみと良い仲間です。ウォッカはロシア料理、たとえば、ピクルス、酢漬けのマッシュルーム、茹でたジャガイモを添えたニシン、様々な脂身などと一緒に飲むのが最高。国民性というものは、食事や酒に負うところが大きく、やはり無意識のうちにロシア料理に魅かれてしまうのです。脂身をコニャックで洗い流すことができるでしょうか?あるいはジンを飲みながらペリメニを食べることができるでしょうか?」モスクワ出身のフセヴォロドさんはこのように話している。

 まさにその通りで、他の国の人と同じように、ロシア人も食卓の料理と合う酒に本能的に手を伸ばすのである。

品質と健康

 ロシアでは、多くの人が、ウォッカは他のウィスキーやコニャックなどの酒より健康に害を及ぼすことは 少ないと信じ込んでいる。時には医者でさえこのおかしな信仰を後押しすることもある。

 「祖父が心臓手術を受けたとき、医者は禁酒を告げたのだが、その時、もしどうしても飲みたくなったらウォッカにするようにと言ったのです。どの程度科学的な根拠があるのかは分からないが、祖父は医者の忠告に従いました」と話すのはサンクトペテルブルク出身のクセニアさん。

 酒を飲む人の多くは、飲酒の悪弊を二日酔いの具合で測る。二日酔いがなければ、害はないと言うのだ。これがまったくの事実ではないにしても、多くのロシア人はこの考えを強く信じている。

 他のどんな強い酒よりもウォッカを好むと言うモスクワ出身のドミトリーさんは、「ウォッカは蒸留を繰り返すことによって作られるので、ひどい酔いを起こす原因となるフーゼル油を含んでいないし、高級ウォッカには糖分も含まれていない。そのためウォッカは軽くて心地よい酔いをもたらすだけなのです」と指摘する。

お金と若さ

 今は社会的地位も得てより上品で(そして高価な)酒を嗜むようになった人々も若いころは、値段が手ごろで効果的に酔えるウォッカを飲んでいたものだ。

 「最近はワインかリンゴ酒を飲んでいますが、若い時はウォッカを飲んでいました。友達とお金を出し合って、ジュースで割って飲むと割がいいし、気持ちよくなるのも早いからです」とサンクトペテルブルク出身のアレクサンドラさんは言う。

 実際、ウォトカは外国から輸入されたさまざまなタイプの酒に比べて、とても安価である。ロシア製のウォッカの製造コストはハーフリットルの標準サイズで、1瓶35ルーブル(およそ60円)程度ととても安いため、ブランドにより価格帯の商品の選択肢も広くなる。

 今日、政府によって、標準的なボトルのウォッカの最低価格が215ルーブル(およそ360円)と定められている。いくつかの超レアなものを除けば、高級ブランド品は一瓶115ドル(およそ12,700円)くらいまでである。高級ブランドウォッカであっても大抵は低めの価格で売られている。

 という訳で、ウォッカはどんな所得の人でも眉ひとつ動かさずに買うことができるのである。

 ロシアでウォッカの人気がとても高いのは、目立たないが役に立つ道具としても使われるからである。傷口の消毒液として手元においておくと便利だし、病気の患者の体に塗ると熱を下げるのにとても役立つのである。

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