あなたは宇宙飛行士になるために必要な運動ができるか

朝の体操を行っている宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリン

朝の体操を行っている宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリン

I・スネギレフ撮影/Sputnik
 極限の条件に臨むには覚悟が必要だ。我々は、宇宙に適応するために何が必要か、宇宙飛行士を育成している上級トレーナーに話を聞いた。

 初期の宇宙飛行士の選抜の歴史は、スーパーマンが存在するのは映画の中だけではないことを証明している。1950〜60年代当時、宇宙は人間にとって未知の危険区域であり、ソビエトのパイロット訓練生は、人間が極限状態を生き延びられることを証明するため、地獄のような訓練を受けた。

  今日では、宇宙飛行が人体に与える影響についてより多くのことが明らかになっており、昔ほどハードルは高くない。候補生の身体的健康の主な要件は、オリンピック選手と変わらない。忍耐、体力、速度、機敏性だ。

  現代では、宇宙飛行士の身体は過負荷、無重力、低酸素症、耳の前庭の刺激といった宇宙飛行の悪影響に耐えられなければならない。また彼らは、無重力状態で宇宙に長期滞在することの負の側面(運動機能低下、活力低下、微小重力)を予防するため、飛行中の身体の健康を維持できなければならない。

 だが、これは一般人にはどのような意味を持つのだろうか。宇宙飛行の準備ができる人はいるのだろうか。

 宇宙飛行士身体トレーニング部門の上級指導者のアレクサンドル・セルドゥク氏が、第一選抜をクリアするために必要な運動のリストを作ってくれた。

宇宙飛行士身体トレーニング部門の上級指導者、アレクサンドル・セルドゥク

 なお、以下の基準は30〜35歳の人を対象としている。

1.ロンベルグ試験で、平衡感覚を保つための神経の能力を確かめる。候補生は目を閉じたまま40秒、足を合わせて立つよう言われる。この試験の発想は、平衡感覚が複数の神経系、具体的には固有受容、前庭入力、視覚の組合せで生まれるというものだ。このうち2つが働いていれば、人はまともな平衡感覚を示すことができる。 この試験の鍵は、視覚を奪われていることだ。3つの神経系のうち2つしか残されていないため、候補生の前庭や感覚に疾患があれば、バランスを取るのが難しくなる。

2.懸垂10回。

3.トランポリン:90度、180度、360度回転。

4.シャトルラン:10メートルを27秒で10回(5往復)。

5.エルゴメーターで車輪の手回し(国際宇宙ステーション上と同じ):これで心肺機能がどのようなものかを知ることができる。脚の代わりに手で回すか前進させる。

6.ランニング:3分30秒で1キロメートル。

7.天使のようなポーズで平行棒にしがみつき、その態勢を25秒間保持。

8.立ち幅跳び:2メートル10センチ。

9.トレッドミルBD-2でのランニング(国際宇宙ステーション上と同じ):これにより、心肺機能のはたらきをチェックできる。

10. 3メートルの高さから水にダイブ。この試験で、心身の制御が完璧にできているかを知ることができる。候補生は飛板の先端に直立し、体のどの部分も曲げることなく落下を始め、頭から着水しなければならない。少しでもどこかを曲げれば、体から水に衝突してしまう。

11.水中で息継ぎなしに20メートル遊泳。

12.水泳:21分で800メートル。

 これらの基準を満たすのが難しいからと、パニックになることはない。次回の宇宙飛行士チームの選抜は2、3年後なので、身体的健康を身に付けるにはまだ十分な時間がある。

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