モスクワの地下鉄は14路線、222駅となった。8月30日、7つの新しい駅が開通したのである。「ミチューリンスキー・プロスペクト(大通り)」、「オジョールナヤ」、「ゴヴォロヴォ」、「ソンツェヴォ」、「ボロフスコエ・ショッセ(街道)」、「ノヴォペレジェルキノ」、「ラスカゾフカ」の7つの駅のデザインは“世界でもっとも大きい地下美術館”というモスクワ地下鉄の有名なコンセプトに見事にマッチしている。
半地下に作られたこの駅の赤とオレンジのホールはパノラマの窓の形をしていて、その窓からは隣接する公園が見える。フルーツとベリーで構成されたデザインは、果樹の品種改良を科学的に行ったロシアの有名な生物学者、イワン・ミチューリンにちなんだもの。駅のホールの壁と公園部分は互いに補い合う形で、二つで一つの対のデザインになっている。
この駅の名称は「湖」と言う意味で、それにより駅は水差しの絵で飾られている。全体的に目にやさしいブルーとグリーンの色合いでデザインされ、入り口近くの天井のデザインは、湖面に石を投げて広がる波紋を思わせる。
この駅のポイントは迷路のような形をした黒い天井のライト。その光は大理石に埋められた細い線状のライトと呼応しながらきらめいている。このようなオリジナリティ溢れる光の使い方で、駅はシックさを極めている。
駅の建物は傾斜が緩やかな屋根がついた田舎の家のような形で、大都会に住む人々をホッとさせるに違いない。屋根と壁には自然光を取り込むための穴が開けられているので、穴の空いたチーズのように見える。なんだか気分がスッキリしないときはソンツェヴォの駅に行ってみるといい。その光の戯れに思わず微笑まずにはいられないだろう。
これは駅ではなく、本物の街道である。矢印の形をした鋭角のラインと明るいオレンジ色の内装がスピードを感じさせる。天井には次々と光の「火球」が素早く飛び交う。その光景は実に魅力的だ。
駅舎への入り口は帝室の屋敷のような形で作られている。ライトがついた天井は赤と白の朝浮き彫りで飾られた優雅な円柱へと続く。その内装はどんなに長いこと見ていても飽きない。
この駅はロシア文学をテーマにしている。壁の代わりにバーチャルな本棚があり、柱の代わりに図書館の図書カード入れがある。もっとも驚かされるのは、これらの本すべてを無料で読むことができると言うこと。QRコードを読み取り、端末にダウンロードすることができるのである。
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