5月19日の朝、モスクワは地上交通機関における新時代の幕開けを迎えた。この日を前に、たった1日で、2万人を超える人々が電動キックボードのレンタルサービスに利用者として登録した。
このサービスは2つのカーシェア運営企業(「デリモビーリ」と「ユードライヴ」)が同時にスタートさせたが、そのシステムは一般的なカーシェアサービスとほぼ同様である。市内に多数のレンタルステーションが設置され、利用者は好きな場所でキックボードをレンタルし、好きな場所に返却することができる。この2つのサービス、どちらも同じように見えるが、異なる点もある。詳細を見てみよう。
カーシェア会社「デリモビーリ」による「デリサモカート」
「デリサモカート」の最大のメリットは料金の安さである。レンタル料は1時間わずか100ルーブル(およそ175円)、1日だと450ルーブル(およそ788円)。ちなみに1時間あればモスクワの中心部からサドーヴォエ環状道路まで行くことができる。
現在、モスクワ中心部の地下鉄駅の近く、また中心から少し離れた北西部、南西部にもステーションがある。ステーションの数は全部で25、キックボードの数は1,650台である。
一方、最大のデメリットは夜中はレンタルできない点である。ステーションは午前7時にオープンし、11時にはクローズする。ステーションは有人で、キックボードの引き渡しはステーションのスタッフによって行われ、キックボードの状態もチェックされる。
「デリサモカート」はスタートボタンを押すと少しずつスピードが上がり、最大速度は時速25キロ。折りたたみ式で車輪が大きい(つまりデコボコ道に強い)。しかしいずれにせよ深い水たまりには適していないので、雨の日の利用はお勧めしない。
登録の手順:
- まずサービス会社のアプリで登録を行い、申込書に記入する。申込書は会社のサイトまたはApp Storeでダウンロードできる。アカウントには電話番号が登録されているので、確認のショートメッセージが届く。
- その後、利用に関する同意書をダウンロードしてサインし、スキャンしたものをシステム上にアップロードする。
- パスポート情報を記入する。パスポート(写真のあるページ)と開いたパスポートを持ったセルフィを撮影し、アップロードする。スマホのスクリーン上に指でサインする。
- 24時間以内に登録内容と書類が確認される。
- 申込が完了すると、電子メールか電話に登録完了のお知らせが届く。
キックボードの借り方:
最初にアプリを使って予約する。アプリには利用可能なキックボードの数、それらが今あるステーションの場所などが表示される。その後、ステーションでアプリのQRコードを提示して、スタッフからキックボードを受け取る。
1日借りる場合は、ステーションで鍵と充電器を無料で借りることができる。
時間内にキックボードをステーションに返却できなかったときは?
こちらは重要な情報である。キックボードを返却すれば、5,000ルーブル(およそ8,750円)の罰金が課されるが、レンタル時間を丸1日延長してもらうことができる。しかし48時間以内に返却しなかった場合は3万ルーブル(およそ52,500円)の罰金となる。
カーシェア会社「ユードライヴ」による「ユードライヴ」
こちらは時間や日数計算ではなく、分刻みで料金が算出される。1分あたり5ルーブル(およそ9円)。つまり1時間利用すれば300ルーブル(およそ525円)になる。すべてのステーションは中心部(サドーヴォエ環状道路内)にあり、中心から離れた場所にはない。また雨天には利用できない。
その代わり、キックボードは無人でレンタルできるシステムとなっており、また24時間いつでも利用できる。最大速度は「デリサモカート」と同じで時速25キロだが、それ以外に2種類のスピード設定が可能である。バッテリーは20キロの走行が可能となっている。
登録の手順:
紙の書類は最小限。もしユードライヴのアカウントを持っている場合は何もしなくていい。請求書は共通である。もしアカウントがないという場合はアプリをダウンロードし、カーシェアサービスに登録する。会社の謳い文句を引用すれば、「パスポートと良心さえあれば良い」のである。承認手続きには2時間ほど。ただし大きなデメリットはデリサモカートと違い、英語表示はない。
キックボードの借り方:
最寄りのステーションに行き、QRコードをキックボードのハンドル部分に読み込ませて、アプリを使ってブルートゥースキーを開ける。
キックボードを一時的に駐めておきたい場合、内臓されているキーとアプリを使う。アカウントにアクセスできない何者かがキーを解除することはできない。
自分で充電することが可能。充電式電池が内蔵されている。
キックボードをステーションに返却し、レンタルサービスを終了するにはQRコードを読み込むだけである。