ロール寿司か天然痘か?ぜひフォローしたいインスタグラムのアカウント

ライフ
エカテリーナ・シネリシチコワ
ご紹介するブロガーたちは独自の世界を作り出したり、わたしたちを取り囲む世界について発信したりしている。しかしそれらはまるでハリウッドのサイファイのように見える。インスピレーションを与えてくれるアカウント、驚かされるアカウントをご紹介しよう。

1. @yannasamsonova

 ウラル地方にあるウファ(モスクワの東1350キロ)に住む微生物学者のヤーナ・サムソノワさんは人間の体内の豊かな世界を分かりやすく紹介している。インスタグラムでは光学顕微鏡と電子顕微鏡で見た微生物の画像を投稿し、微生物についての簡単な説明やフォロワーへのクイズを載せている。

 たとえばこれが何か分かるだろうか?

 もっとも多かった回答は(もちろん間違いなのだが)、「寿司」。これに対するサムソノワさんからの正解は「これはロール寿司でもカビでもありません。天然痘ウィルスのようなものです。かつて多くの命を奪った恐ろしい病気です」。

 睡眠病を引き起こすトリパノソーマはこちら。トリパノソーマはアフリカに生息するツェツェバエが媒介する寄生性原虫。トリパノソーマに感染すると、適切な治療を行わなければ、まず発熱し、1ヶ月後には眠気が引き起こされ、朦朧とした状態になり、やがて昏睡し、死に至る。

こちらは人間の舌の細菌。

 食細胞(ピンク色の部分)はまさにこんな感じ。細胞性免疫を担う細胞で、体内組織への感染を防ぐため細菌(青い部分)を飲み込もうとしているところ。          

  家に古いカーペットやカーテン、家具があるという方。こちらはそこに潜んでいるヒョウヒダニ(チリダニ)。家の中の絨毯や家具に発生し、さまざまなアレルギー性疾患を引き起こし、異なる結果を招く。

2. @sheidlina

 サンクトペテルブルグの女性エレーナ・シェイドリナさん(23)は大胆でスタイリッシュなイメージを作り出している。サイバーパンクから異星のヒューマノイド、ティム・バートンの映画から飛び出してきた女の子までそのイメージは実にさまざまで面白い。

 1回の撮影の小道具を用意するのには1週間かかるという。「アートフォトにフォトショップは使いません。コラージュもしませんし、切り取ったり、付け加えたりもしてはいけません」とも話す。画像修正で色の補正をし、撮影でワイヤーやてぐすを使ったときはそれを消すことはあるとのこと。

 シェイドリナさんは13歳のときから写真を撮ってきた。最初はどのブランドにも相手にされなかったが、今ではナイキの広告を撮影し、フランスの下着ブランド、アンディズと契約を結んだ。

 ちなみにフォトショップを使っていないということを信じない人のために、シェイドリナさんはYouTubeのチャンネルを開設し、そこで、40台の壊れたテレビを集めたところや鞍と棒とワイヤーだけで「透明の」馬を作るところなど、実際の撮影の様子を紹介している。

3. @alinavalitova

 雑誌ヴォーグのファッション写真家でセットデザイナーのアリーナ・ヴァリトワさんは最近、彼女にとって写真があまりにも狭い表現方法だということに気がついた。そこでループ動画のブーメラン機能を使って表現するという方法にスイッチした。彼女はこれを公的に「ファッションの形式の進化」と名付けている。しかしもっと大きなモチベーションとなったのは「怠惰心」。「カメラを持ち歩いて、フォトショップの前に何時間も座り、写真を修正するのが面倒になったのです。なんのためにiPhoneがあるのかと」。ヴァリトワさんは雑誌The Villageのインタビューでこんな風に話している。

 ブーメランを使った1回の投稿には、コンセプトによって1–7人が関わっているという。「通りで何か面白いものを見つけたときにループさせたいと思いますね。それからわたしは古いヴォーグの中の綴じ込みを見るのが好きなんです。とりわけヴォーグジャパンが好きですね。日本人は怖いものしらずなので、非常に斬新なんですよね」。

 ヴァリトワさんの作品は2016年にロンドンのテート・モダンで開かれた展覧会#discoveryourstoryで展示された。彼女の創作はインスタグラムでもフォローできる。

 

4. @rfedortsov_official_account

 ロシア人船員ロマン・フェドルチェフさんはバレンツ海底で捕まえた魚やその他の生物の写真をアップして一躍有名になった。しかし彼が捕まえるものはただの海の動物というより、何かもっと幻想的な生物を思い起こさせる。

 恐ろしい魚の一部はたまたま網にかかったもので、その後、海に戻される。「それらの魚の身は苦くておいしくないから」だという。そしてこれらは突然変異ではない。深い海の底にいる魚は、普段わたしたちが見慣れている魚とはちょっと違う姿をしているのである。