現在でも人気のあるソ連コスメ7選

Asya Cho
 ソ連時代、化粧は一種の冒険であった。自分を美しく引き立ててくれる、ぴったりと合う化粧品を手に入れることが簡単ではなかったからだ。ソ連には、上質な石鹸、シャンプーなどの洗浄剤やクリームはあったが、アイシャドウ、口紅、頬紅、ファンデーションといったカラー化粧品の種類が不足していた。

 貴重かつ希少なエスティ・ローダーの頬紅やクリスチャン・ディオールの口紅を求めて、行列に何時間も並ぶ人もいた。これらの化粧品は時に、半月分の給与に相当するほど高額であった。購入の機会のない人や金銭的に許容できない人、すなわち普通の市民は、ソ連製品を使った。驚くかもしれないが、いまだにソ連の化粧品の一部は生産されている。ソ連時代から現代を通して人気の化粧品7点を特集する。

  1. 箱入りの眉とまつ毛のマスカラ

 「レニングラーツカヤ」マスカラは、ソ連女性の化粧ポーチに必ず入っていた。小さな箱の中に、固形マスカラとブラシが入っている。ブラシで固形マスカラをこすり、次にブラシを水で濡らす(実際のところ、水の代わりにつばをはきつける人もいた)。濡れたブラシは固まりのようになるため、針ほどの細い棒でほぐす。現代のようなボリューム・タイプやカール・タイプのマスカラはただのあこがれ、夢であった。

 なぜいまだに人気なのだろうか。箱とブラシという他にはないマスカラであること、使い勝手が良くて、安いことが理由だ。

  1. 「バレエ」ファンデーション

 1981年、「スヴォボダ」工場がソ連初のファンデーションを製造した。クリーム・タイプのファンデーションで、種類は1色のみ。厚ぼったくマスクのようになってしまうため、夜のイベントがある時に塗る人が多かった。ファンデーションの選択肢は限られていたため、これを購入していた。現在、製品は改善され、販売されている。

  1. 「プレレスチ」ヘアスプレー

 ヘアスタイルを文字通り固定するハードスプレーで、カールが3日ほどもった。くっつきやすい、独特なにおいがある、といった短所にもかかわらず、ボリュームのあるヘアスタイルが流行した1980年代は一番の人気商品だった。ロシア語では、「ヘアスプレーで前髪をセットする」というフレーズがあり、ヘアスタイルを整えるプロセスを意味している。

 今日、プレレスチは改善され、ロシアで最も人気の高いヘアスプレーの一つである。

  1. 「エレーナ」アイシャドウ

 モスクワの「ラッスヴエト」工場は、「エレーナ」コスメ・キットを生産していた。長方形の箱に入った2種類の色合いと魚形の箱に入った3種類の色合いの製品があった。大きなコスメ・キットはソ連のどのような女性にも合うものだった。

 バイオレット、エメラルド・グリーン、ブライト・ブルー、トキシック・ピンクなどのパール入りの派手なアイシャドウだった。その後、ラッスヴエトは、ベージュ系や中間色のキットの生産も始めるようになった。

 ソ連後期、ポーランドから「ルビー・ローズ」アイシャドウも輸入されていた。これは色彩が豊富で落ちにくいため、人気商品となった。おしゃれな人は、イタリアのプーパの大きなコスメ・キットをほしがった。エレガントな赤い楕円形の箱には、アイシャドウや頬紅が入っていた。

  1. 「クラスナヤ・モスクワ」香水

 クラスナヤ・モスクワはソ連の伝説的な香水で、女性の間でとても人気が高かった。モスクワの「ノヴァヤ・ザリャ」工場が1925年に生産を始めた。一説によれば、ロマノフ家300周年の記念品として1913年につくられた香水「女帝お気に入りの花束」をベースにした香りなのだという。クラスナヤ・モスクワがシャネルNO.5の香りと似ているという人もいる。

 現在でも、同じ工場でつくられている。ファンは多い。

  1. 「ノルカ」ワセリン

 ソ連時代、薬用リップは生産されていなかったため、女性は別のもので唇を風や寒さから守っていた。それがワセリンである。唇がツヤツヤになり、乾燥から守ってくれるスグレもので、どこの薬局でも売られていた。「ノルカ」ワセリンは普通のワセリンの2倍ほどの価格であったが、効果が長持ちした。

 ワセリンは現在でも多くのリップのベースであり、薬用リップの代用として使われている。

  1. 「ジェツキー」ハンドクリーム

 ソ連には天然成分の質の高いクリームがたくさんあった。中でも「ジェツキー」は一番人気であった。低刺激性で、良い香りがし、肌をやわらかくした。1950年代に生産が始まり、現在でも人気が高い。

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