クヴァルチルニクという家演奏会に参加するには

『七月の雨』映画の撮影。「モスフィルム」スタジオ、1966年

『七月の雨』映画の撮影。「モスフィルム」スタジオ、1966年

RIA Novosti
 ロシア人は外に遊びに行くのが大好きだが、騒々しいナイト・クラブやバーよりも、家が真の娯楽の場である。

家でコンサート?

 ソ連時代、ロック・バンドの多くは検閲により、コンサート実施の許可を得ることができなかったため、マンションを会場としていた。このようなコンサートは、ロシア語の「クヴァルチラ」(マンションの意)から「クヴァルチルニク」と呼ばれていた。クヴァルチルニクの主催者はミュージシャンの友だちだったことから、集まるのは近しい仲間ばかりだった。ヴィクトル・ツォイ、ウラジーミル・ヴィソツキー、バンド「アクヴァリウム」や「レニングラード」などの有名なミュージシャンが、クヴァルチルニクに出演していた。演奏後はそのまま泊まることも多かった。

 招待された人のみが集まる内輪のコンサートは、来る人を団結させた。そしてソ連ロックのアルコールのシンボルであるポートワインが場を盛り上げた。

 ミュージシャンは持ち歌をうたい、カバーを演奏し、即興演奏をした。詩のクヴァルチルニクも人気があり、若者は自作の詩や古典的な作品の両方を暗唱していた。発表が終わった後は、批評を含む活発な議論が行われ、時にケンカに発展することもあった。

 

クヴァルチルニクは今もある

 現代ロシア人も、家のコンサートが好きである。インディーズ音楽のバンドの間ではいまだに人気があり、友だちや親戚の前で演奏している。

 通常はメンバーの家で行われる。観客の人数によって、どんな部屋でも会場になる。クヴァルチルニクの観客を増やしたい時は、交流サイト(SNS)を使ってプロモーションする。SNSでイベントをチェックしてみよう。

 「このようなイベントに参加するのは、通常、ミュージシャン、ダンサー、学生などの知的で創造性豊かな人。外国人もよく見かけるし、英語の会話を聞くことも普通にある。多くの人は、海外から、パーティーに出席するために来て、印象を共有したりしている」とモスクワっ子のタマーラ・グリゴリエワさんは話す。

 イベントの最中や終わった後に寄付を募る主催者もいる。また、アルコールや食べ物を持ち寄るよう頼むことも一般的。

 クヴァルチルニクは午後6~9時に始まることが多く、深夜に終わって、その後ミュージシャンと友だちが一晩中起きていたり、何日もそこに滞在したりすることもある。「ヴィピスカ」(チェックインの意)と呼ばれる招待状をもらうと、このような引き続きの滞在が可能になる。

 定期的に参加しているモスクワっ子のダリア・ソコロワさんはこう話す。「クヴァルチルニクに使われるマンションは、修繕もされていない状態の悪いところ。だから何かがうまくいかなくても主催者は気にしない。自分でも開催したことが一度ある。ミュージシャンの知り合いが大勢いて、その人たちを招待したりすると、クヴァルチルニクとギターを弾く飲み会の境界がぼやけてしまうことがある。別の街からミュージシャンが来る場合は、参加者が帰りの切符のお金をカンパすることもある」

 クヴァルチルニクの欠点の一つは、近所の問題である。音楽や騒音を嫌う人もいる。そのため、週末や祝日に開催されることが多い。警察がコンサートを止めにくることもある。

 

ルールはあるのか

 マンションの所有者によってルールは変わるが、基本ルールというものがある。

  1. 主催者が常に正しい。
  2. 来場者は互いに、また隣人に気を遣う。
  3. 会場のマンションを清潔に保ち、パーティーが終わった後で掃除をする。
  4. 宿泊する場合はまず所有者に尋ねる。
  5. 午後11時以降は騒がない。
  6. 食べ物、飲み物、使い捨て食器を持ち寄る。

 

 ロシアのクヴァルチルニクに行ったことのある人は、ぜひその体験を以下のコメント欄で共有してください!

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